香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

三豊市詫間町・昭和20年生まれの男性の証言

昭和20年代に、家で打ったうどんを店で出していた

(取材・文: 三豊市詫間町)

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  • vol: 113
  • 2015.10.26

子どもの頃のうどんの方が美味しかったという印象がある

子どもの頃にうどんを食べた一番古い記憶は?
家がうどん屋だった。子どもの頃からうどんばかり食べとった。かけとか、鍋焼きうどんとか。腹が減ったら家にあったうどん玉を勝手に湯がいて食べよったくらい。朝は毎日うどん。中学校は給食がなかったけど、家が学校のそばだったから、昼食は家にうどんを食べに帰りよった。
何て名前のうどん屋だったんですか?
店の名前はなかったと思うんやけどな。うどん玉は商店に卸したりはせずに、自分の店で出していた。酒もあるし、うどんもあるし、いろいろな食べ物がある、今で言うたら居酒屋の感じやな。寿司とかそんなんもあったけど、俺はうどんが好きだった。今でも好きやな。店は、今はもうやってない。
昼も夜も開いている店だったんですか?
そうやろうね。子どもやからあんまり意識してなかったから覚えてないけど、夜は夜で会社帰りの人とかが来て食べたり飲んだりしよったわな。朝早うからうどんは打ちよったわ。足で踏んだりしよった。そんなんは見とる。両親と兄とか姉とかみんな手伝いよった。兄弟が多かったから。俺は小さかったから手伝ってない。家が仕出し屋みたいなんもやっとったから、お祭りとか法事とかは特に忙しかった。
うどんに対して何かあれば。
昔のうどんと最近のうどんは味が違う。昔のうどんの方が美味しかった。ダシもいりこと鰹と昆布を入れて出しよったわな。最近のダシは香りがない。麺自体も違う。子どもの頃の方が美味しかったな。そら打ち立て、茹で立てやからなぁ。そら美味しいわなぁ。美味しいのは当たり前やけど、最近のは、どこのうどん屋へ入っても「これは!」と思うんがないのぉ。子どもの頃の方が腹が減っとったからかもしれんけど。
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