香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

高松市鬼無町・昭和33年生まれの男性の証言

せいろでしか売らん製麺屋さん

(取材・文:

  • [showa]
  • vol: 44
  • 2015.07.10

せいろでしか売らん製麺屋さん

子供のころに食べたうどんいうたら、鬼無にあった「坂本」の製麺屋のうどんやったよ。もう閉めて7年くらいになるけど、店しよったんが50年にはなっとった思うわ。場所は県道33号を鬼無から市内向かって行きよると、香西の宮脇書店過ぎたら、予備校挟んで33号は右にカーブしとるけど、直進できる細い道があるやろ。それを行くんや。まっすぐ行ったら香西の八幡さん(宇佐八幡宮)に行き着くんやけど、33号からその道入ったら左に荒(あらせ)神社があってその横に上りになった道があるけん、それ行ったら坂本さんとこなんや。

じいちゃんが粉ひきよったな。せいろが重ねて置いとったわ。当時は1玉10円くらいやった思うわ。それをお椀で入れてセイロに並べよった。ひとセイロ25個は入りよったはずや。オレは子供ん時は小麦粉預けに行ったこともあるわ。そんで帳面に付けて帰るんや。物々交換や。そばもしよったから大晦日には店に、そばのセイロが積み上がっとったし。

なんせここは少量の玉売りはしてくれんかったんや。ひとセイロから配達してくれるんやけど、そんなんセイロでうどんいるやいうたら法事ぐらいやろ。それやから近所の酒屋がせいろで買うてきて、5玉とか10玉とか買いたい人はそこ行きよった。もう家の前にセイロ重ねとったら、何かあったんやなってみんな分かりよったんや。今でも店しよった所はそのままやで。大きい釜もステンレスの長いテーブルもあるし。ほんまに地元のうどん屋やったわ。

セルフの元祖は「なみき」?!

ほんでもうちょっと先行ったら香西には今でもある、「なみき」いう店もあったけどな。この店は、自分でうどん湯がくんや。オレらの中では「なみき」が今のセルフの元祖やと思っとる。

昔は八幡さんには屋台のたこ焼きも出てたんや。祭りだけでなくてずっと。串にたこ焼き3つ刺して10円やった。たまに売れ残ってたらおっちゃんとは仲良しやったから、「これやるわ」言うてくれたりしてた。それに楕円のわらび餅の屋台も出とったな。八幡さんの辺は、今は祭り以外は静かな通りやけど、昔は屋台や遊ぶ子供で年中にぎやかやった。

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