香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

木田郡三木町・昭和16年生まれの男性の証言

家で作るうどんは、太くて短い人差し指のようなうどん

(取材・文:

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  • vol: 111
  • 2015.10.20

小麦を製粉所で粉にして、家でうどんを作っていた

子どもの頃(昭和20年代)にうどんを食べていましたか?
今みたいにしょっちゅうではないけど食べとった。法事や正月、祭り、お祥月(故人の月命日)とか、何かあったときに口にできたな。その時はたいてい、しっぽくうどんばっかりやった。それと必ずバラ寿司が一緒やった。
麺は家で作っていましたか?
家で作らんと、どこから手に入れるんな(笑)。当時は三木町の氷上に住んどったけど、周りに八百屋みたいなもんはなかったし。綿棒や麺打ち台なんかの、うどんを作る道具は家に一通り揃っとった。母親が麺を打っとったな。
小麦粉はどこで手に入れていましたか?
親戚が百姓をしとったから、そこから小麦をもらった。小麦だけやのうて米や大麦も作っとったから、そんなんも一緒にもろうたで。その代わり、家族で農作業をよく手伝いに行った。

 手に入れた小麦は、近くの製粉所に持って行って粉にしてもろた。製粉所はモーターが付いた機械で挽いて粉にしとったな。

粉にしてもらうための代金は?
確か、お金は要らんかったと思う。その代わり、手間賃として小麦をいくらか取られた。

家で作っていた麺は人差し指並み!?

家で作っていた麺の特徴を教えてください。
太くて短い! 今のうどん屋の麺とはまるっきり違うで。あんなにしなやかではない。麺の太さや長さが小指、いや人差し指くらいあった。だから、しっぽくというよりは団子汁に近い感じやったかな。
しっぽくうどんの具には何が入っていましたか?
赤いた(かまぼこ)とネギ、それと自宅の畑で作っていた野菜や。

昭和28年頃にやっと近所にうどん屋ができた

近所にうどん店や製麺所はありましたか?
あったら家で麺なんか作らんやろ(笑)。小学6年生くらいのとき(昭和28年頃)に、やっと近くにうどん屋ができたぐらいや。
どんなうどん屋さんでしたか?
「みやざき」っていう名前の店で、配達もしとったで。木のおかもちを提げて。そやけど、そんなに本格的な店やのうて、何かの仕事の片手間でやっているような感じやった。

 うどんは、かまぼこが2~3枚とネギだけが入っている普通のかけうどんだけ売っとった。きつねうどんもあったかもしれんけど。麺は家のとは違って、かなり細くて長かった。値段は、店に一人で行って小遣いで食べられたぐらいやから、25円か30円やったと思う。子どもの頃に何回か行ったことがあるけど、店はもう今はないで。

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