さぬきうどんのメニュー、風習、出来事の謎を追う さぬきうどんの謎を追え

vol.70 新聞で見る讃岐うどん

新聞で見る平成の讃岐うどん<平成24年(2012)>

(取材・文: 記事発掘:萬谷純哉)

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  • vol: 70
  • 2023.10.23

讃岐うどんブームが「ブームに乗って遊ぶ」という局面に入る

 前年の平成23年(2011)6月に「高速1000円」が終了し、県外客の爆発的増加という喧噪が落ち着き始めた平成24年です。「讃岐うどん巡りブーム」のここまでの大きな動きを簡単に振り返ると、

①1990年代に、「ゲリラうどん通ごっこ」~『恐るべきさぬきうどん』の発刊によって、「怪しい製麺所型うどん店巡り」という讃岐うどんレジャーが起こる。
②2000年前後に、全国の雑誌やテレビが「製麺所型うどん店」をこぞって紹介し始め、爆発的な「讃岐うどん巡りブーム」が起こる。
③2002年に「はなまるうどん」が渋谷に店を出し、「讃岐うどんの全国チェーン展開」というビジネスモデルを開始する。
④2006年に映画『UDON』が公開され、「讃岐うどん巡りブーム」が加速する。
⑤2009年に「瀬戸大橋通行料上限1000円」キャンペーンが始まり、「讃岐うどん巡りブーム」が爆発的に加速する。

という流れです。そして、このブームに乗って平成23年(2011)に県が「うどん県宣言」を行い、「うどん脳」が出現し(「平成23年」参照)、このあたりから「讃岐うどんブーム」は、「県外客が爆発的に増える」という局面から、うどん店をはじめ、いろんな業種、業界が「讃岐うどんで遊ぶ、商売する」という局面に入ってきました。そういう意味では、この平成24年(2012)は、讃岐うどんブームの一つの局面変化の年だったと言えます。

 では、そんな「讃岐うどんで遊ぶ元年」の新聞記事を拾っていきます。

JR高松駅の愛称が「さぬきうどん駅」から「さぬき高松うどん駅」に(笑)

 香川県の「うどん県」宣言に乗っかって丸亀市が「骨付鳥市」を名乗ったのに続き(「平成23年」参照)、今度はJR四国が高松駅に「さぬきうどん駅」という愛称を付けたのですが、直ちにクレームが来て3日後に修正するという騒動になりました(笑)。

 まず、「さぬきうどん駅」の発表記事がこれ。

(3月27日)

高松駅の愛称「さぬきうどん駅」 JR四国と県、協定締結へ 玄関口から香川PR

 JR四国は26日、県の「うどん県。それだけじゃない香川県」プロジェクトに連携し、JR高松駅の愛称を「さぬきうどん駅」にすると発表した。29日から駅構内の案内標識に名称を掲げるなどし、香川の玄関口から「うどん県」をPRする。同プロジェクトや2013年の瀬戸内国際芸術祭を踏まえ、JR四国では29日に、県と観光パートナーシップ協定を締結予定。観光振興策の一環として、高松駅の愛称を名付けた。…(以下略)

 そして、3日後に出た記事がこれ。

(3月30日)

さぬきうどん駅→さぬき高松うどん駅 疑問の声相次ぎ急きょ変更

 JR四国と県が決めた高松駅の愛称「さぬきうどん駅」が29日、「さぬき高松うどん駅」に変更となった。市民から「さぬきうどんは香川県全体のもの。高松駅だけの愛称にするのはおかしい」などの声が相次ぎ、急きょ切り替えたという。

 JR四国は、県が取り組む「うどん県。それだけじゃない香川県」プロジェクトに連携し、高松駅に愛称をつけることを企画。県と協議した上で「さぬきうどん駅」に決め26日に発表。29日から駅名表示板などに記載予定だった。しかし、発表直後から、JR四国や県に対し「地名が入っておらず、どこの駅かわかりにくい」などの意見が20件以上寄せられ、大西高松市長も28日の定例会見で「少し違和感を覚える。市民の意見も聞き、慎重に対応してほしい」と疑問を呈した。そのため県とJR四国は愛称について再度協議。地名の「高松」を入れることを決めた。29日に同駅で行われた式典では「さぬき」と「うどん駅」の間に、「高松」の文字をはんこで押したようなデザインの駅名表示板などが披露された。駅の名称は14年3月末まで使用する。

 「高松駅」を「さぬきうどん駅」に改名したのではなく、駅の表示板には普通に正式名称の「高松駅」の表示があって、その下に小さく「さぬきうどん駅」という愛称が書かれていたので誰が見ても高松駅であることはわかるのですが、言葉だけを切り取って「どこの駅かわからない」というクレームが来たようです(笑)。ただし、「さぬきうどんは高松(駅)だけのものじゃない」というクレームは確かにごもっともで、やはりネーミングにちょっと考えが足りなかったのかもしれません。いずれにしろ、「上からハンコを押すだけ」みたいな最小限の修正で収まって何よりです(笑)。

「うどん脳」が人気上昇中!

 前年7月にデビューした「うどん脳」(「平成23年」参照)が、この年の6月に「本場さぬきうどん協同組合」の「うどん大使」に任命されました。

(7月3日)

「うどん脳」が大使デビュー

 「うどんの日」の2日、「本場さぬきうどん協同組合」は高松三越前でうどんの無料接待を行った。同組合が6月にうどん大使に任命したキャラクター「うどん脳」の着ぐるみが登場し、買い物客らに冷たいぶっかけうどんを振る舞った。…(中略)…「うどん脳」は高松市のデザイナー岡谷敏明さん(40)が考案したキャラクターで、讃岐うどんの一層のPRが期待されている。…(以下略)

 そして10月には、その人気ぶりが記事で紹介されました。

(10月28日)

“キモかわ”キャラで話題に 「うどん脳」が熱い

 頭にうどんが詰まった奇抜なキャラクター「うどん脳」が人気を集めている。「キモかわいい」デザインが目を引き、関連グッズの売れ行きも好調。着ぐるみが県外イベントに出張する他、「うどん脳」を描いたラテアートも登場し、「うどん県」のPRに一役買っている。

 生みの親は、高松市伏石町のデザイナー岡谷敏明さん。地元香川ならではのキャラクターとして、讃岐うどんをモチーフに5年をかけて考案した。「本場さぬきうどん協同組合」が6月にうどん大使に任命したことで、知名度は急上昇。7月には着ぐるみがお目見えし、今や「県内外のイベントに引っ張りだこ状態」(岡谷さん)という。

 釜玉うどんやカレーうどんなど、キャラクターのバリエーションは豊富。関連グッズもステッカーにストラップ、Tシャツと幅広い。約20種類のグッズを取り扱う高松市南新町のさぬき産業工芸館「サン・クラッケ」では、月間販売数が常に上位に入る人気ぶり。…(中略)…広がりはグッズにとどまらず、高松空港内の飲食店「カフェヴォーノ」では、「うどん脳」のラテアートも楽しめる。…(以下略)

 というわけで、「うどん脳」はキャラクターのクオリティも、グッズやイベントへの露出も、周辺への広がりも、さぬきうどんキャラとしては群を抜いていますが、県のうどん公式キャラクターは「うどん健」で、「うどん脳」はあくまで民間キャラです(笑)。

県外資本の「さぬきうどんチェーン」が全国で店舗拡大中

 1月の四国新聞に、県外資本の「さぬきうどんチェーン」が全国で盛んに店舗展開していることがレポートされていました。

(1月8日)

讃岐うどん、熱き戦い 県外チェーン最大手「丸亀製麺」本格進出 地元は自慢の味で勝負

 讃岐うどん店チェーン最大手が、本場・香川に”本格進出”する。外食大手のトリドール(神戸市)が2000年から展開する「丸亀製麺」で、47都道府県すべてに計500を超える店舗を持つ。全国で人気を博する大型チェーン店に対し、「あくまで味で勝負」と受けて立つ構えの地元店。うどんブームを背景に、地元有名店も店舗網を広げる動きが活発化しており、讃岐うどんの熱き戦いが県内外で繰り広げられそうだ。

 県外資本の讃岐うどん店チェーンは、うどんブームに乗って各地で誕生。香川に進出するケースが少ないため県民にはあまり知られていないが、さぬきうどん振興協議会によると、その数は少なくとも13に上る。最大手の「丸亀製麺」以外にも「讃岐製麺」「金毘羅製麺」「香の川製麺」など香川を連想させる店名が目立つ。「丸亀製麺」は昨年12月末現在、全国に538店舗を展開。6~26店舗の他チェーンに比べ、桁違いに多い。「丸亀製麺」としては、11日にオープンする高松市室新町の中央通り沿いの栗林公園店が1号店となるが、07年には「亀坂製麺」の店名でイオンモール高松(高松市香西本町)内に既に出店している。…(中略)…

 県内でも地元資本のうどん店チェーンが次々に誕生し、店舗網を拡大。ここ数年は老舗店が多店舗化する動きも相次ぎ、競争は激化している。トリドールは全国1000店舗を目指しており、「今後香川でもさらなる出店の可能性はある」と県内での複数店舗展開を示唆。地元うどん業界では「本場で成功すれば、事業拡大もしやすくなる。丸亀製麺に続く他の県外資本チェーンも出てくるのでは」と警戒する声もある。丸亀製麺栗林公園店に近い「上原屋本店」(同市栗林町)の上原政則店長は「新しい店には人が集まる」とする一方で、「県外資本も地元店も関係ない。焦らずに今まで通りうまいうどんを出すだけ」とあくまで味で勝負する構えだ。

 「さぬきうどん振興協議会」によると、平成24年(2012)時点で県外資本のさぬきうどんチェーンは「少なくとも13に上る」とのこと。讃岐うどんブームに乗っかって、そしておそらく「はなまるうどん」の「ファストフード型大衆セルフうどん店」というビジネスモデルの成功例を見て、全国で同様の展開を始めたチェーン店があちこちで増えてきました。

 ただ、記事にある「丸亀製麺」や「讃岐製麺」「金毘羅製麺」「香の川製麺」などは、いずれも香川県内ではうどん店の営業実績がないまま「讃岐うどん」を掲げたり示唆したりしているため、ちょっと香川県民の反感を買った部分があるようです。特に県外資本うどんチェーン最大手の「丸亀製麺」は、香川県内に「丸亀製麺」という小さな会社があるのに「丸亀製麺」という名前で全国展開をしたり(香川県内に最初に出した店だけは「亀坂製麺」と名前を変えていましたが)、全国ネットのメディア等で県外資本なのに讃岐うどんを代表するかのような情報発信やプロモーションを繰り返したりしていましたが(笑)、一方では、自らリスクをとった大きなビジネス展開で讃岐うどんの名を全国に広めてくれたことも確かです。ただし、讃岐うどんのいろんな“誤解”も広めてくれましたが(笑)。

「うどんまるごと循環プロジェクト」が始まる

 2010年度から2011年度にかけて「かがわ中小企業応援ファンド」の支援事業として「廃棄うどんからバイオエタノールを作る」という研究が行われていましたが(「平成23年」参照)、そこから「うどんまるごと循環コンソーシアム」という組織ができました。

(1月14日)

産官学が「循環プロジェクト」 廃棄うどん、燃料で再生 高松のメーカー、残渣も肥料に

 廃棄されるうどんから代替燃料のバイオエタノールを製造するプロジェクトに取り組む「うどんまるごと循環コンソーシアム」が立ち上がり、13日、高松市内で第1回総会を開いた。うどん店で廃棄されるうどんから製造したバイオエタノールを、うどん店が燃料として循環利用する仕組みの構築を目指すもので、「うどん県」ならではの環境保全活動が始まる。

 同コンソーシアムは、環境NPOや学識経験者、製麺業者ら14人で構成。プロジェクトは「うどんまるごと循環プロジェクト」と名付けた。計画では、県内のうどん店などで廃棄されたうどんを回収。高松市内の産業機械メーカーが開発した専用のプラントでバイオエタノールとメタンガスを製造し、回収したうどん店でボイラー燃料として活用する。製造過程で出る残渣もうどんの原料となる小麦を栽培する際の肥料として使う。今後は、回収や燃料製造の仕組みを整え、早ければ2月末に燃料生成を開始、肥料の商品化を含め、2013年3月末までに循環システムを確立させる。…(以下略)

 全国規模、世界規模の「循環プロジェクト」に比べると、エネルギー効率的にはビジネス化できない規模の“循環プロジェクト”かもしれませんが、時代はすでに「エコ」ですから、小さなことからコツコツと、産学官あげての推進です。

「かな泉」が民事再生法申請

 昭和の讃岐うどん界をリードしてきた「かな泉」が民事再生法を申請しました。

(4月21日)

うどんのかな泉 民事再生法申請 負債8億円、セルフ台頭で

 老舗うどん店のうどんの庄「かな泉」(高松市)は20日、高松地裁に民事再生法の適用を申請した。負債額は約8億円とみられる。低価格のセルフうどん店の台頭などで客離れが進み、業績が悪化していた。店舗の営業は従来通り継続する。

 帝国データバンク高松支店などによると、同社は1949年に製麺メーカーとして創業。県内を代表するうどん店として知られ、うどんブームにも乗って、ピークには県内外で10店舗以上を経営。高い知名度を生かし土産用のうどんの販売も伸ばし、89年5月期の売上高は24億8000万円に上った。しかし、長引く景気低迷で宴会需要が減少。観光客らに人気を集める有名うどん店や、相次いで登場したセルフうどん店チェーンとの競争激化で苦戦を強いられた。2001年ごろからは不採算店を相次いで閉鎖し、店舗は高松市内などの3店に減少。店舗の閉鎖で売り上げは低迷し、近年は赤字経営が続いていた。11年5月期の売上高は7億5200万円まで減少、最終赤字は9300万円に拡大していた。

 昭和の「かな泉、一強」とも言われた時代を知る者としては、県外客を集める田舎の人気製麺所型店や新興のセルフチェーンの台頭くらいで倒産にまで追い込まれるとはにわかに信じがたいのですが、倒産の理由の真実は当事者にしかわかりません。しかしいずれにしろ、讃岐うどん界の歴史に「かな泉」の存在と功績は、記録し、記憶しておくべきトピックであることは間違いありません。「讃岐うどんの一時代が終わった」という感のあるニュースでした。ちなみに、記事に「うどんブームにも乗ってピークには県内外で10店舗以上を経営。…89年5月期の売上高は24億8000万円に上った」とありますが、そんな時期に顕著な「うどんブーム」はなかったと思うのですが(笑)。

「讃岐うどんブーム」の経済効果はますます拡大中

 讃岐うどんのビジネス関連記事が、あと2本載っていました。

(8月17日)

たも屋、小規模店FC化 今月下旬から全国展開加速 九州、関東へ初出店

 セルフうどん店をチェーン展開するたも屋(高松市)は、都市部への進出を見据え、小規模店舗のフランチャイズ(FC)化に乗り出す。今月下旬に福岡県、9月には神奈川県に出店、小規模店のFC化で出店ペースを加速させ、本格的な全国展開を目指す。同社はもともと大型駐車場を備えたロードサイド型店舗を得意とし、直営とFCで県内外に13店舗を展開している。ただ、都市部では大型店の出店が難しいことを踏まえ、テナントビルなどにも出店できる小規模店のFC化に踏み切る。

 都市部向けの小規模店は「たも屋jr.」の名称で、座席数は20~30席と従来の店舗の約半分。都市部のテナントビルの他、大型商業施設内や駅構内への出店も想定している。小規模店で提供するうどんは高松市の本社工場で一括製造し、冷凍して各店舗へ配送する。店舗の厨房には製麺機を設置する必要がなく、小さな面積でも出店が可能になる。初期投資も抑えられるため、開店までの期間も短縮できる。同社は本年度中に小規模店舗20店舗の出店を目指しており、第1弾として30日に北九州市に小倉魚町店、9月中旬には神奈川県鎌倉市に鎌倉店をそれぞれオープンする予定。

(8月22日)

さぬき丸一製麺 坂出に新工場建設 冷凍うどん需要増で

 冷凍麺製造のさぬき丸一製麺(坂出市)は、坂出市府中町に新工場を建設する。製品をOEM(相手先ブランドによる生産)供給する生協やスーパーなどでの需要の増加に対応し、冷凍うどんの素材麺の生産能力を3割高める。操業開始は11月の予定。同社は全国の生協や中四国、近畿、九州のスーパーなどのプライベートブランド(PB)商品を手掛け、冷凍うどんなどの各種麺類の調理麺と具材のない素材麺を製造する。近年、消費者の低価格志向を追い風に受注が拡大し、ここ5年で売上高は約15億円伸びている。

 新工場は約6400平方メートルの敷地に建設し、鉄骨平屋、延べ床面積約3400平方メートル。冷凍うどんの素材麺を生産するライン1本を整備する。投資額は約7億7500万円。12人の新規雇用を計画する。県と坂出市はそれぞれ企業誘致条例に基づき助成する予定。現在、冷凍うどんの素材麺のラインは3本あり、1時間当たり各8000食を生産。新工場の生産能力も同程度という。将来の需要増にも対応できるようにライン1本分のスペースを確保している。同社は2012年12月期の売上高を前年比3割増の73億円と予想。新工場の本格稼働や需要拡大が見込まれることで、15年12月期には100億円を目指す。

 企業の店舗展開や設備投資とそれに伴う消費拡大は、いわゆる「経済効果」の中でも最も大きな部分。「讃岐うどんブームの経済効果」はそれらが10年、20年と続いているわけですから、一過性のイベントの経済効果とは桁が違います。

「ミドリムシ」入りうどんと「レアスイート」入りうどん

 続いて、当時の“流行りの原料”を添加したうどんの話題が2本。

(1月1日)

栄養豊富「ミドリムシ麺」 新うどん打ち体験人気(琴平)

 ダンスに合わせてうどん踏みを行うなど、一風変わったうどん打ち体験で人気の琴平町の中野うどん学校で、藻の一種・ミドリムシを使った新しいうどん打ち体験が人気になっている。ミドリムシは59種類の豊富な栄養素を持っており、わずか2グラムの中にキンカン6個分のビタミンA、豚レバー約100グラム分のビタミンB1などが含まれる。消費者の健康志向が高まる中、栄養のあるうどんを開発し、これまでうどん打ちを体験した人にも再び来校してもらおうと採用を決めた。作り方は、小麦粉と塩水にミドリムシの粉末を混ぜるだけで、後は通常のうどんと同じ。出来上がった緑色の麺は、とろろ昆布のような食味になるという。…(以下略)

(9月5日)

希少糖使いうどんだし 「こだわり麺や」が開発へ

 県内でセルフうどん店を展開するウエストフードプランニング(丸亀市)は、レアスウィート(三木町)が販売する希少糖を含む甘味シロップを砂糖の代わりに使った、うどんだしの開発を進めている。…(中略)…ウエストフードプランニングはうどん店「こだわり麺や」を県内で8店舗展開し、年間約200万人が来店する。希少糖を使ったうどんだしの開発は、百十四銀行がビジネスマッチング事業で提案し、スタートした。…(以下略)

 これまで、「モロヘイヤうどん」や「ヤーコンうどん」をはじめ、野菜や海草などを練り込んだうどんはいくつも出てきましたが、ついに「ミドリムシ」と「希少糖」がうどん業界に捕まってしまいました(笑)。他にもおそらく、新聞に載らない店レベルのアイデアコラボうどんはものすごく増えてきていると思われます。

うどん巡りの「スタンプラリー化」に苦言が

 一日一言士が、“近ごろの讃岐うどん巡り”にちょっと苦言を呈していました。

(1月6日)

コラム「一日一言」

 あった、あった、ありました。「うどん県」宛ての年賀状。それもわざわざ朱書きで目立つように。これもうどん県副知事の陳情効果なのだろうか。昨秋以来ブレーク中の「うどん県」。年明けうどんをすすり、「さすがうどん県」と客のコメントを紹介するニュースも流れ、すっかり市民権を得た印象。だが気になることもある。それは、「うどんツアー」と称し、スタンプラリー化していることだ。もちろんこれも楽しみ方の一つ。否定はしないが、「時間のロスなく、うどん屋さん巡り」を指南するばかりでは、県外客に香川を売り込むチャンスは少ない。

 自分好みの麺や腰、味を求めて隠れた“名店”を探す喜び。場の雰囲気を味わう楽しさ。田尾和俊さんの『超麺通団 讃岐うどんめぐり指南の書』『超麺通団2 ゲリラうどん通ごっこ軍団始まりの書』を読み返すと、ブームの原点にハッと気付かされる。20年前、香川でうどんを食べ歩いた村上春樹さんはエッセー「讃岐・超ディープうどん紀行」の中で、香川のうどんには「しっかりと腰の座った生活の匂いがした」と記す。稲田にそよぐ風、小川のせせらぎを感じながら食べたうどんは格別だったようで、うどんを語る人々の蘊蓄と愛情が、さらなる美味みを生むのだ」とも。…(以下略)

 「昔はよかった…」みたいな話ですが(笑)、筆者や村上春樹さんが“怪しいうどん屋”をおもしろがってた頃は、まだネットが普及していない時代。このコラムが書かれた平成24年(2012)はネットの中にほとんどのうどん店の基本情報が出ている時代ですから、記事にある「隠れた名店を探す喜び」みたいな探検のおもしろさは半減し、その結果、「うどんツアーがスタンプラリー化する」という状況になってしまいました。それも時代の流れですから仕方のないことですが、次世代の情報発信を担う人たちには、スタンプラリー化した巡り方の中に新たな付加価値(楽しみ方)を提案することを期待したいところです。

野菜の摂取不足も「うどん」のせいに(笑)

 「香川県民は糖尿病患者が多く、野菜摂取不足が顕著」という話が、やっぱり「うどん」と結びつけられました(笑)。

(6月26日)

不健康な私たち “野菜食べん県” うどん偏食で血糖値上昇 バランスよく副食を

 (前略)…“野菜食べん県”。香川県民の野菜摂取量の低さが問題視されている。2006~10年の国民健康・栄養調査が示す1日当たりの野菜摂取量は、県内の成人男性が266グラムで全国ワースト2位(全国平均301グラム)、成人女性が229グラムでワースト1位(同285グラム)。紛れもなく、日本一野菜を食べない県民と言える。野菜不足を招く一因と指摘されるのが、老いも若きも好物のうどんの「食べ方」だ。県が11年に行った県民健康・栄養調査によると、うどんを週に2~3回以上食べる人の割合は成人男性で約4割、成人女性で約3割に上る。県民食と呼ぶにふさわしい数字だが、うどんだけを腹いっぱいかき込む、またはサイドメニューはいなりずしや揚げ物だけというのが見慣れた光景。野菜の存在感はないに等しい。

 副食として野菜を添えるのには理由がある。県食育推進会議会長の北川博敏香川短大名誉教授によると、早食い、大食いになりがちな麺類だけでは栄養素が炭水化物に偏り、血糖値の急上昇を招きやすい。だが野菜を一緒に食べることで、食物繊維が血糖値の上昇を遅らせるという。糖尿病の推定患者数が人口10万人当たりで全国ワースト1位の香川。生活習慣病の魔の手から逃れるために、まずは県民食の食べ方改善が急がれる。北川氏は「うどん自体に罪はない。トッピングのワカメでいいので必ず野菜から食べ始めること」と強調する。

 県中讃保健福祉事務所は3月、野菜を使ったメニューが豊富な店舗を紹介する「ヘルシーうどん店マップ」を初めて作製した。星の数が多い店ほど、栄養バランスの取れた食事ができるとうたう。スーパーや店頭などで配り、「店選びの参考に」と呼びかけている。ただ、現在のうどんブームを支えているのは小規模な店。「惣菜の種類を増やすのは簡単でない」との声が根強い。ある有名店の店主(54)は「うまいうどんを作るのに一生懸命。野菜は家でしっかり食べて、と言いたいのが本音やね」と語る。うどんのおいしさが店の看板であるのは当たり前。その上で、同保健福祉事務所の担当者は言う。「店も客も、今より少し意識を高めてもらえれば」。

 うどんのメニューやうどん店の揚げ物にも結構野菜は使われているし、「野菜は家でしっかり食べて」といううどん店店主の意見も全くごもっとも。しかし、香川ではやっぱり「うどん」と絡めると話題性も大きいということで、ブーム以降、急に「うどんばっかりは健康にいかがなものか?」という論調が目に付くようになりました。「ばっかり」がよろしくないのは、うどんに限らず何でも同じなんですが(笑)。

「うどん脳」の広告が2本登場

 うどん関連広告の本数は39本と激減。「うどん脳」と「多度津鍋ホルうどん普及委員会」が広告を出していましたが、うどん店やうどん関連商品等の情報発信はどんどんネットに移行中です。

<県内うどん店>
【高松市】

「さぬき麺業」(高松市松並町)………5本
「さか枝」(高松市春日町他)…………2本
「川福」(高松市ライオン通)…………1本
「うどん棒」(高松市亀井町)…………1本
「松下製麺所」(高松市中野町)………1本
「愉楽家」(高松市林町)………………1本
「いろり家」(高松市上林町)…………1本
「もり家」(高松市香川町)……………1本
「てら屋」(高松市檀紙町)……………1本
「ヨコクラうどん」(高松市鬼無町)…1本
「北山うどん」(高松市鬼無町)………1本

【東讃】

「六車」(東かがわ市)…………………1本

【中讃】

「かめまる」(丸亀市飯山町)…………2本
「せい麺や」(善通寺市)………………2本
「日の出製麺所」(坂出市富士見町)…1本
「塩がま屋」(宇多津町)………………1本
「めりけんや」(宇多津町)……………1本
「まごころ・いきいきうどん」(丸亀市蓬莱町他)1本
「小縣家」(まんのう町)………………1本
「こんぴらや」(まんのう町)…………1本
「こがね製麺所」…………………………1本

【西讃】

「将八」(観音寺市)……………………1本
「鳥越製麺所」(観音寺市豊浜町)……1本

<県内製麺会社>

「藤井製麺」(三木町)…………………2本
「久保田麵業」(宇多津町)……………1本
「民サ麵業」(高松市松並町)…………1本
「テーブルマーク」………………………1本

<その他>

「うどん脳」………………………………2本
「多度津鍋ホルうどん普及委員会」……1本
「さぬきうどん技術研修センター」……1本

(平成25年に続く)

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