香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

高松市鬼無町・昭和21年生まれの男性の証言

江戸時代から続くうどん店

(取材・文:

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  • vol: 77
  • 2015.07.16

江戸時代から続くうどん店

 鬼無のヨコクラうどんは、香川県で一番古いうどん屋やて、テレビで放送していたけど、江戸時代にできたんやな。私らが子どもの時にもよく行きました。今と同じ場所やけど、建物が敷地内でちょっと移動したのではないかな。横へずらした感じで…。今は店の外に出したボードにチョークで世相を切るような一言を書いているのが光っています。

 土日などの休みには、うどん玉を買いに行った。主に近所の人たちが買いに行っていた。玉を買いに行った時に、たまたまできだちがあったら、しょうゆをかけて店で食べたことがある。大人の人は5~6玉食べたと自慢していたこともありますね。玉を買うときも、20玉くらい入ったせいろで買っていました。
農家の友達は、家々でうどんを打っていたって話を聞くけど、私のうちでは、家でうどんを打ったような思い出はない。ヨコクラが近くにあったからじゃないかな。

ヨコクラの近くに、うずしお会館が今もあるけど、あそこも製粉しよったと思う。水車ではなく動力やったかな。40年くらい前はうどん玉も売っていた。鬼無駅の近くの「北山」は昭和40年代の中ごろにできたな。私らが食い盛りのころやったからよく覚えている。

 「霜野のうどん」いう店があったけど、昭和の終わりごろに国分寺の旧国道に移転していった。

 鬼無は高松に合併するまで、上笠居村だった。昔はバスがあって、たまに高松の動物園や映画館に出かけた。「今日はマチへ行ってくるけん」と言って、小遣いもらって友達といそいそと出かけたものだ。高松へ行くとさすがに都会で、うどん屋も鬼無のうどん屋とは違ってレストランみたいで、いろいろなメニューがあった。かまぼこがちょっと乗った「かやくうどん」が、何も乗ってない「かけうどん」より高かったのを覚えている。

 今は、どこにでもうどんの専門店ができて、便利になった。どこもうまいうどんを出して活気があるけど、うどんの味そのものは、昔食べた思い出の味にはかなわないような気がする。それだけ、うまいもんがない時代やったんけんやからかな。

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