さぬきうどんのメニュー、風習、出来事の謎を追う さぬきうどんの謎を追え

vol.62 新聞で見る讃岐うどん

新聞で見る平成の讃岐うどん<平成16年(2004)>

(取材・文: 記事発掘:萬谷純哉)

  • [nazo]
  • vol: 62
  • 2023.03.13

「県農協のさぬきの夢2000不正表示事件」と「小規模うどん店を対象とした排水規制問題」が勃発。「はなまる」と「さぬき小町うどん」は大手に営業譲渡

 平成16年(2004)の讃岐うどん界は、県農協の「さぬきの夢2000不正表示事件」と、小規模うどん店を襲った「排水規制問題」が大きな話題になりました。また、「さぬき小町うどん」で全国展開を進めていた「フォー・ユー」が「すかいらーく」に営業譲渡してうどんチェーンビジネスから撤退、「はなまる」も「吉野家」に営業譲渡するなど、「讃岐うどん巡りブーム」とは別のところでかなりざわついた1年になりました。

 では、まずは「全国チェーン展開」の関連記事から。

「さぬき小町うどん」が「すかいらーく」に、「はなまる」が「吉野家」に営業譲渡

 「さぬき小町うどん」と「はなまる」がそれぞれ、大手の「すかいらーく」と「吉野家」に営業譲渡することを発表しました。

(4月28日)

フォー・ユー、うどん事業を営業譲渡 「すかいらーく」と覚書締結 売り上げ低迷で見切り

 セルフ方式の「さぬき小町うどん」を全国展開するフォー・ユーは27日、うどん事業を外食大手の「すかいらーく」(東京都武蔵野市)に営業譲渡すると発表した。地方店舗を中心に売上が低迷しており、収益の改善は難しいと判断した。譲渡の方式や対象店舗・工場などについては今後協議し、6月末の決定を目指す。同社では今後、リサイクル事業の再編に経営資源を集中し、収益力の改善を本格化させる。…(中略)…うどん事業は子会社の「ティー・プロジェクト」が運営。直営37店とフランチャイズ13店の計50店、国分寺町と札幌市に製麺工場がある。

(5月8日)

はなまる、吉野家と提携へ 経営手法吸収 早期株式上場目指す

 セルフうどんチェーンを展開する「はなまる」(高松市)は5月下旬をめどに、株式の33.4%を牛丼チェーン最大手の「吉野家ディー・アンド・シー」に譲渡し、資本・業務面で提携する。「はなまる」は提携を機に昨秋から延期している株式上場を進めたい考えで、「吉野家の効率的な店舗経営など学ぶ点は多い。顧客や取引先から信頼を得て、できるだけ早く上場を目指したい」としている。…(中略)…

 「はなまる」は2001年11月に設立。昨年12月末時点で全国に158店舗を展開しており、03年12月期の営業収益は73億円。昨年11月に上場を予定していたが、主幹事証券会社から「引受審査の過程で新たに確認すべき事項が見つかった」との申し出があったため、延期した。

 「フォー・ユー」の「さぬき小町うどん」事業は「直営37店とフランチャイズ13店の計50店、国分寺町と札幌市に製麺工場」というところまで拡大していましたが、業績不振を早めに見切って「すかいらーく」に丸ごと営業譲渡することになりました。一方、「はなまる」は株式の3分の1を「吉野家」に譲渡して、吉野家の資本で株式上場~業務拡大を目指すことに。「はなまる」は前年に上場を一時断念しましたが、ビジネス拡大の可能性は十分にあると見て、資金調達を「単独の上場」から「大手の財力に委ねる」という方法に変更したということでしょう。

 この両社の動きに対して、四国新聞に分析記事が載っていました。

(6月12日)

ブーム陰り 市場見誤る 「はなまる」は大手傘下で生き残り 「フォー・ユー」は完全撤退、本業に専念 

 セルフ式チェーン店を展開して全国に讃岐うどんブームを巻き起こした「はなまる」と「フォー・ユー」。驚異的なペースで店舗数を拡大していた県発祥の2大チェーンだが、今夏から相次いで外食大手からの支援や完全撤退を決めてしまった。うどんブームはもう去ってしまったのか。自力で乗り切る手立てはなかったのか。ブームの陰りを指摘する声も上がる中、セルフ店苦戦の深層を探った。…(中略)…

 「セルフ式は珍しくなくなった。開店フィーバーも収まった」が業界の大半の見方。…(中略)…「大手傘下」「完全撤退」と2社の対応は違うが、市場の変化に対する反応の素早さは共通している。薄利多売のセルフうどんの特徴を知る香川の2社だけに、「大穴が開く」前に機敏に対応できたと言えなくもない。言い換えれば、果敢に全国展開を図り、ここ2年間の讃岐うどんブームをけん引するに至ったのも、ブームを察知できた洞察力と素早さがあったからに他ならない。

 「さぬき小町うどん」と「はなまる」のビジネス反応の素早さを評価してはいるものの、「ブームの陰りを指摘する声も上がる」とか「大穴が空く前に対応した」とあるように、記事はこの2社の営業譲渡を「讃岐うどんのセルフチェーン店ビジネスの限界」のように捉え、そこから「讃岐うどんブームは去りつつある」という認識で書かれているようです。しかし、「はなまる」や「小町うどん」の営業譲渡は、ビジネス的には「経営主体がより大きな資本に移った」という話で、「讃岐うどんのセルフチェーン店ビジネスが終わった」わけではなく、特に「はなまる」は経営主体が大手に変わったことでさらなる攻勢すら予測されますから(実際そうなりました)、「営業譲渡」から「うどんブームの衰退」に持って行くのはちょっと早計かもしれません。

 そしてやはり、「吉野家」の資本が入った「はなまる」が事業展開を加速し始めました。

(11月10日)

はなまる、200店達成 「気合いだ」 アニマル浜口さんら一日店長

 全国的な讃岐うどんブームのきっかけとなったセルフうどんチェーン「はなまる」の200店舗目の店が9日、東京・歌舞伎町にオープン。同社のイメージキャラクターのタレント山田花子さんと、元プロレスラーのアニマル浜口さんが一日店長を務め、讃岐うどんの魅力をアピールした。…(中略)…同社の前田英仁社長は「讃岐うどんブームは沈静化したが、セルフうどんは生活に密着したファストフードとして根付いたと思う。今後は全国で1000店舗を目指したい」と話している。

 前年末時点では158店舗でしたが、11月9日に200店舗を達成し、1000店舗を目指してPR戦略のギアも一段階上げました。ちなみに、前田社長のコメントに「讃岐うどんブームは沈静化したが…」とありましたので、ちょっとそのあたりの状況を簡単に整理しておきます。

 まず、大きなくくりとしての「讃岐うどんブーム」は、

①「讃岐うどん巡りレジャー」の現場
②「讃岐うどんビジネス」の現場
③「讃岐うどん行政」の現場

の3つの局面がそれぞれ動いており、その中で最も大きな比率を占めているのは言うまでもなく「讃岐うどん巡りレジャー」の動向です。県の観光客動態調査のデータを見ると、この頃は依然として香川の4大観光地の入込数は減少しているのに香川全体の入込数は増加していて(「讃岐うどんの謎:vol.18」参照)、その増加分の多くは讃岐うどん巡り客の増加だと考えられますから、「讃岐うどん巡りレジャー」の現場はこの頃、数字の上では決して衰退の兆しが見えているわけではありませんでした。

 事実、当時の筆者のフィールドワークによると、人気店では相変わらず週末や連休、帰省時期等を中心に県外客が行列を作っていましたし、香川を紹介する全国ネットの旅行情報誌はどこも「讃岐うどん巡り」をトップで大きく取り上げていて、「香川観光の目玉は讃岐うどん巡り」というスタイルはすっかり定番化していました(ちなみにこの後、2006年から2010年にかけて、讃岐うどん巡りブームは空前のピークを迎えることになります)。

 ただし、この頃は全国ネットの雑誌やテレビが「讃岐うどん巡り特集」的な情報発信を“一回り”終えてきた時期で、目新しいものを追うメディアが「讃岐うどん」を扱う量はさすがに減ってきていました(旅行情報誌は香川を紹介する時の“マストアイテム”なので常にトップ扱いでしたが)。すると、テレビや雑誌に紹介されなくなると「ブームが去った」と感じる人がどうしても多くなるわけで、そのため、2003年~2005年あたりは筆者もいろんなところから「讃岐うどんブームは下火になった」という話を聞きましたが、実質はおそらく「“高値安定期”に差しかかってきていた」というのが正しいと思います。 

県が「さぬきの夢2000こだわり店」に4店を認証する

 では続いて、「さぬきの夢2000」の関連記事です。この年の「さぬきの夢2000」は、1月に「こだわり店」の認証制度がスタートし、5月にブランド化に向けた協議会が発足し、そこから「さぬきの夢2000」のPRイベントやキャンペーンも開催され、さらにNHKの『プロジェクトX』でも開発物語が紹介される等々、県が中心になって普及PR活動を活発に展開していましたが、11月に県農協で「さぬきの夢2000不正表示事件」(オーストラリア産小麦を大半使用しながら「さぬきの夢2000小麦粉100%使用」と表示して販売していた)が発覚してマスコミや識者等から猛バッシングを受けるという、波瀾万丈の1年でした。

 では、時系列に沿ってまず1月、「さぬきの夢2000」の粉を100%使用する「さぬきの夢2000こだわり店」に、「かなくま餅」「いしうす庵」「千ちゃん」「うどん会館」の4店が県から認証されました。

(1月31日)

「さぬきの夢2000こだわり店」 うどん4店、県が認証 プレート、のぼり交付 ブランド化目指す

 うどん用に開発した県産小麦「さぬきの夢2000」のブランド化を目的に、県が初めて認証する「さぬきの夢2000こだわり店」が決まった。認証店は、年間を通して原料に「さぬきの夢2000」小麦を100%使用するなどの基準を満たした「かなくま餅」(観音寺市植田町)、「さぬき麺業いしうす庵屋島店」(高松市新田町)、「千ちゃん」(高松市寺井町)、「綾南町うどん会館さぬきうどん滝宮」(綾南町)の4店。認証期間は3年間。…(中略)…昨年末までに応募のあった12店の中から、県農協やかがわ農産物流消費推進協議会が選考した。…(以下略)

 多くのうどん店から「扱いにくい」という声が上がっていた「さぬきの夢2000」の粉ですが、当時700店以上あったうどん店の中から12店の応募があったようです。そこで選ばれた上記4店は、「それまで使っていた粉を全部やめて、全メニューを『夢2000』100%のうどんで提供する」という、かなり思い切った商品転換をすることになりました。

「さぬきの夢2000推進プロジェクト」が始動

 続いて、「かがわ農産物流通消費推進協議会」が「さぬきの夢2000推進プロジェクト」の新設を発表しました。

(5月13日)

「さぬきの夢2000」ブランド化へ 専門部会を再編(かがわ農産物流通消費推進協議会)

 県産農産物の需要拡大を目指す「かがわ農産物流通消費推進協議会」(会長・北川博敏香川短大学長)の2004年度総会が11日、県庁であり、うどん用県産小麦「さぬきの夢2000」のブランド化推進に関するプロジェクトチームを新設するなど専門部会の再編を決めた。…(中略)…「さぬきの夢2000推進プロジェクト」の本年度の事業計画としては、製品販売などで県産小麦の歴史や文化を情報発信する「さぬきの夢物語フェア(仮称)」を7月に高松シンボルタワーと東京せとうち旬菜館で開催することなどを決定した。

 「さぬきの夢物語フェア(仮称)」は、「さぬきの夢2000物語フェア」というタイトルで予定通り7月に行われました。

H16広告・夢2000物語フェア

「さぬきの夢ラリー」を開催

 続いて秋に、「さぬきの夢2000」を使ったうどんを出す店を回るスタンプラリーが開催されました。

(10月2日)

さぬきの夢ラリー うどん屋63店参加 県産小麦の味確かめて 

 「さぬきの夢2000」を広くPRしようと、県は1日から県内のうどん店で「さぬきの夢ラリー」をスタートした。「夢2000」を使ったうどんを提供する63店が参加。…(中略)…ラリー開催期間は店によって異なるが、原則として来年1月31日までの4ヵ月間。開催中は店頭に「さぬきの夢ラリー」と書いたのぼりを掲示する。…(以下略)

 「さぬきの夢」のスタンプラリーは平成14年にも70店が参加して開催されていましたが(「平成14年」参照)、この年は63店の参加。そのうち「さぬきの夢」を100%使っている店は「認証店」の4店だけですから、あとは「『さぬきの夢』を少し混ぜました」という店です。ちなみに、スタンプラリーというのは参加者にとっては基本的に「いろんな違ったものを体験しながら回る」というのが楽しいので、筆者が企画した「讃岐饂飩巡礼八十八箇所」は麺もダシも店構えも立地もバラエティに富んだ「楽しさを満喫できるような店選び」を一番のテーマとしたのですが、こちらは「夢2000を使っている」という同じような方向性の麺のうどん店を並べました。「夢2000をPRする」という目的のラリーなので、「参加者の楽しみ」より「主催者の都合」を優先せざるを得なかったということでしょう。

「さぬきの夢2000」の評判は?

 では、この頃の「さぬきの夢2000」の評判が窺える記事をいくつか。まず、中四国農政局が「さぬきの夢2000」に最高評価を与えたそうです。

(3月18日)

2003年産「さぬきの夢2000」、中四国で最高評価 粘弾性に優れる(農政局)

 うどん用の小麦「さぬきの夢2000」が中国・四国地域で作られた2003年産の製粉・製麺用小麦の中で最も高い評価を得た。総合点でオーストラリア産の「ASW」を国内麦で初めて抑え、81.7点(100点満点)を獲得。コシの強さを示す粘弾性に優れ、製麺に適していることが証明された。

 評価は中国四国農政局に委託された民間の製粉会社が実施。中四国の18銘柄を対象に、色、外観、硬さ、粘弾性、滑らかさ、食味の項目ごとに点数を付けた。「さぬきの夢」は各項目でバランスよく得点。特に食感の重要な要素となる粘弾性(25点満点)で21.3点の高得点を受けた。県内のうどん店や国内の製麺業者が一般的に使っている「ASW」の20.0点を上回り、総合点でも1.8点差をつけた。前年は岡山の「ふくさやか」と同点トップだったが、他の銘柄を引き離して1位。県農業生産流通課は「03年は収穫時期の6月ごろに雨が降られてなかったのが良かった」と分析している。

 ただ、歩留まりは66.5%で、「ASW」の69.2%に比べて製粉効率が劣る結果も出た。同課は「さぬきの夢は、水分を少なく、塩分を多めにし、たっぷり時間をかけて練ることなどが必要」と説明。特性を生かしたうどんを作ってもらうため、昨年に引き続いて製造業者や製粉業者などを対象として講習会を開く予定にしている。…(以下略)

 「中国四国農政局に委託された民間の製粉会社」の評価ですが、「前年も岡山の粉と同点トップだった」ということは「さぬきの夢2000」は2年連続でASWより高評価だったようです。しかし同時に「さぬきの夢は、水分を少なく、塩分を多めにし、たっぷり時間をかけて練ることなどが必要」と説明したり、講習会を予定したりとあるように、「製粉業者」には高評価でも「うどんの作り手」側には何かと難しい粉のようです。

 それにしても、「さぬきの夢2000」は「消費者の評価」があまり出てきませんね(笑)。「讃岐うどん巡りブーム」が第一次のピークを迎えて、この頃には「麺通」の消費者もかなり増えていたはずですが、そういう消費者の貴重な感想は、関係者やマスコミにはほとんど取り上げられていないようです。

 そして、8月に業者向けの製麺講習会が行われました。

(8月25日)

独特の製麺技術学ぶ 県が「さぬきの夢」講習会(高松)

 県は24日、うどん用の県産小麦「さぬきの夢2000」の製麺講習会を県社会福祉総合センターで開いた。13の製麺業者やうどん店が参加…(中略)…製粉業者や県産業技術センターの研究員らが講師役となり、粉の特徴である色、香り、食感を生かす方法の他、塩水の濃度など注意が必要な作業について説明した。

 同センターの研究員は最適な製麺条件を示し、「生地を鍛える作業を強化すれば生地が締まり、延びにくくなる」と説明。参加者からは「麺の腰がなくなるのが早く、どう持続させるかが課題」などの意見が出た。また、製粉業者は「『さぬきの夢』に対する製麺業者の評価は高まっているものの、オーストラリア産など従来の小麦粉から切り替えるのはまだ少数」と報告した。

 研究員から「生地の鍛え方を強化すれば延びにくくなる」という説明があり、参加した製麺業者からは「麺の腰がなくなるのが早い」との意見があったそうです。先の「中四国農政局から最高評価を受けた」という記事の中には「特に粘弾性で高得点を受けた」とありますが、粘弾性を生むのは「腰」の元になるグルテンだとすると、「粘弾性は高いが、腰がなくなるのが早い」という話には何かちょっと違和感があるのですが…。

 続いて、NHKの『プロジェクトX』で「さぬきの夢2000」の開発物語が取り上げられたのを受けたコラム。

(7月8日)

コラム「一日一言」

 (前略)…県が開発したうどん用小麦「さぬきの夢2000」。6日夜、NHK総合テレビで全国放映された。番組は、地元産小麦にかかわる男たちの執念を切り取った内容だった。「昔のように小麦粉の香りがするうどんを作りたい」と熱望するうどん職人。試行錯誤を繰り返し8年。県農試の職員たちは、その声に応えた。…(中略)…

 香りと風味に加え、食感のバランスの良さなど「夢2000」の評価は高い。だが、満点ではない。「ゆで延びがひどく、玉売りには不向き」「作業温度が高いと、生地が柔らかくなりすぎる」などの声も業界内にあるという。…(中略)…本当にブームの牽引車になれるかどうか。真価が問われるのはこれからだ。ブームを「夢」で終わらせてはいけない。

 ここでも「ゆで延びがひどく、玉売りには不向き」「作業温度が高いと、生地が柔らかくなりすぎる」という「さぬきの夢2000」の欠点がうどん店から出ています。これが普通のビジネスなら、「開発した商品に実用段階で不備があることがわかれば、それを改善するまで決して市場には出さない」というのが原則ですが、「さぬきの夢2000」の一連のPR活動は「実用化にまだ問題のある粉を普及させようとしている」ということになります。

 また、ビジネスというものは基本的に「企画考案」に始まって「研究開発」で商品化に目途をつけ、そこから「製造(生産)」し、「流通」「小売」を経て「消費者」に提示され、それが消費者に受け入れられて初めて完結するわけですが、「さぬきの夢2000」はまず識者をはじめとする関係者の「讃岐うどんは県産小麦で作るべきだ」という“悲願”から始まり、研究開発の後にそれを「生産」に漕ぎ着けたところで「成功した」とされている(『プロジェクトX』に乗っかったということは、そういうことです)。つまり、ビジネスの成否の最大の判断基準である「消費者に受け入れられたかどうか」の検証以前に、開発した時点で「成功した」としているわけです。

 そう考えると、「さぬきの夢2000」のプロジェクトはそもそも「ビジネス活動」というより、ある種の「文化活動」に近いものだったのかもしれません。その結果、文化活動的な思惑のある「行政や識者」と、ビジネスの現場である「生産農家」や「製粉業者」「製麺業者」のそれぞれの思惑が少しずつズレていたのではないか、というのが筆者の感想です。

県農協の「さぬきの夢2000不正表示事件」が発覚

 そして11月、そのビジネスの現場で、ついに「不正表示事件」が発覚しました。

(11月9日)

県農協、讃岐うどん不正表示 豪州小麦使い「県産(さぬきの夢2000)100%」 02年から20万パック販売 県が再発防止指示

 県農協が、原料の大半にオーストラリア産小麦粉を使用しながら「さぬきの夢2000小麦粉100%使用」と不正表示した讃岐うどんを販売していたことが8日、分かった。県は、日本農林規格(JAS法)と景品表示法に基づき、原因究明や再発防止を指示した。県農協はすでに店頭の商品をすべて回収している。県を挙げて「さぬきの夢」ブランドの普及に取り組んでいるだけに、業界全体にとって大きな痛手となりそうだ。

 県によると、不正表示が判明したのは県農協の独自商品「手延半生讃岐うどん大地」。製造は委託先の製麺業者だが、「不正の経緯など責任の所在は明らかになっていない」(県生産流通課)という。県農協は2002年11月から今年9月にかけ、県内のJA系列の小売店や通信販売などを通じて約20万パックを県内外に販売していた。

 県は8月、「さぬきの夢」小麦を使用している主要8商品について、タンパク質の成分分析を実施。「大地」の分析結果が「さぬきの夢」の特徴と異なっていたため、県農協や業者から聞き取り調査を行い、オーストラリア産小麦粉が約8割を占めることが発覚した。「さぬきの夢」を100%使用した場合と比べ、材料費は1パック当たり2円弱安くなるという。…(中略)…業者は県の聞き取り調査に対し、「さぬきの夢」は高度な製麺技術を要するため、加工しやすい小麦粉を使ったことを示唆しているという。…(以下略)

(11月9日)

イメージダウン必至 讃岐うどん不正表示 県農協「深くお詫び」

 県農協が販売する半生うどんで不正表示が明らかになったことを受け、県農協の遠山健治理事長は8日の緊急会見で「消費者の信頼を裏切る結果となった。深くお詫び申し上げる」と陳謝、再発防止に全力を上げることを約束した。だが、うどんブームを支える県産小麦「さぬきの夢2000」での不正に加え、業界をリードする立場の県農協が関わる商品だけに、讃岐うどん全体のイメージダウンは避けられず、県農協には厳正な対応が求められている。

 県農協の説明では、製造を委託した県内の業者に対しては品質仕様書を示しただけで、正式の契約書は交わしていない。また、製造開始から約2年間、一度も品質チェックなどを実施していないことも判明。品質管理責任者としてのマニュアルも策定しておらず、管理体制の甘さを露呈した。…(以下略)

 県農協が「さぬきの夢2000小麦粉100%使用」と表示して販売していた「手延半生讃岐うどん大地」という商品に、オーストラリア産小麦が80%も含まれていたという、商品の不正表示事件です。2年前から県内外に20万パック販売していたそうですが、不正表示の理由として「さぬきの夢よりオーストラリア産の方が材料費が安い」、「さぬきの夢よりオーストラリア産の方が加工しやすい」の2点が挙げられています。

 安くて、加工しやすくて、消費者からも何のクレームも来ない(むしろオーストラリア産小麦を混ぜた方がうまいかも・笑)となれば当然そっちに行きたくなるのがビジネスの常識ですが、それなら正直に「さぬきの夢2000小麦粉20%使用」と表示して、「オーストラリア産の白さと弾力に『さぬきの夢』の風味を加えた新感覚ブレンド!」とか打ち出せばよかったのに、「夢2000を100%使用」というのが大きな付加価値になると思ってしまったんでしょうか。そして、県農協の理事長が「お詫び」をし、マスコミや識者や消費者が厳しく批判するという、全国ネットの事件ではおなじみの光景が繰り広げられることになりました。

 そして、翌日も事件の記事は四国新聞の紙面を賑わします。

(11月10日)

コラム「一日一言」

 …(前略)…県農協の讃岐うどん不正表示に呆れた。…(中略)…豪州産小麦粉を使いながら「さぬきの夢2000小麦粉100%使用」の表示は2年前から。野菜や牛肉などの偽装表示が全国的な問題になったにも関わらず、チェックもしていない。「商品管理にあまりにも無頓着」とする県関係者の不快感は当然だ。…(以下略)

(11月10日)

県農協讃岐うどん不正表示 努力すべて水の泡 製麺業者憤りの声 県「正しい情報伝達必要」

 「なぜ、うそを」「表示の重要性は分かっていたはずだが」。県農協が扱う半生うどんの不正表示判明から一夜明けた9日、県産小麦「さぬきの夢2000」の普及に取り組む製粉・製麺業界からは「これまでの努力が水の泡」と憤りの声が上がった。消費者の中には「こんなことがあるとすべての商品が疑わしくみえる」と不安を訴える声も。事態を重く見た県は「さぬきの夢」小麦を使った全商品の成分検査を実施する方針を決めた。

一番恐れていた

 半生麺も製造する県内の製麺会社社長は「何よりもうそをついたのが信じられない」と憤りを隠せない様子。「おたくは大丈夫なのか」という問い合わせが相次いでいる状況もあって「せっかくここまで高めてきた讃岐うどんの知名度が一気に崩れてしまいそうで悔しい限りだ」と語った。県生麺事業協同組合は同日、緊急理事会を10日に開いて対応を協議することを決めた。香川政明理事長は「一番恐れていたことが起こった」と唇をかんだ。「さぬきの夢」小麦の浸透を図ろうと、県や生産者と力を合わせてきただけに「すべてが水の泡」と肩を落とした。「遺伝子組換えやBSE(牛海綿状脳症)などの問題も多く、県農協も表示の重要性は承知していたはずだが…」と首をかしげるのは県製粉製麺組合の佐々木謙二専務理事。組合では17日に日本農林規格(JAS)法の説明会に組合員全員が参加する予定で、商品表示に関する認識を再度徹底する。

ブーム台無し

 一方、家庭の食卓を預かる主婦らからは一様に不安の声が聞こえた。スーパーに買い物に来ていた高松市楠上町の主婦(35)は「農協だから安心というイメージがあった。こんなことがあると、いろんな商品が疑わしく思える」と困惑顔。同市今里町の主婦(55)は「せっかくの讃岐うどんブームなのに。これで台無しになった」と残念そうに語った。同市伏石町の主婦(77)は「似たような事件が多すぎて、またかという感じ」と、止まらない不正表示に半ばあきらめ顔を浮かべていた。

新たな課題

 さぬきの夢小麦を使ったうどんのPRなどに取り組んでいる県農業生産流通課は、9日朝から製麺業者やうどん店からの問い合わせ電話への対応に追われた。県の担当者によると、「消費者から『本当にさぬきの夢を使っているのか』と問いただされる」との訴えが相次いでいるという。「さぬきの夢のブランド化に力を注いでいるとはいえ、現在も県内で消費されるうどんの大半はオーストラリア産小麦を使っている。消費者に正しい情報を伝えることも大切だ」と新たな課題を認識していた。

 今回の事態を重く見た県は、「さぬきの夢」小麦を使用した全商品の成分分析を行う方針を決定。製粉製麺業者や生麺事業組合に協力を要請し、月内をめどに30~40種類の対象商品をリストアップするという。また、JAS法や景品表示法に関する知識の周知徹底を目的に、関係業者への研修会を12月ごろに開くとしている。

 報道2日目は「一日一言」に加え、かなり大きな紙面を使って分析記事が載っていましたが、「商品管理にあまりにも無頓着」とか「こんなことがあるとすべての商品が疑わしくみえる」とか「何よりもうそをついたのが信じられない」等々、「まあそうだろう」という反応がいくつも紹介されています。

 加えて、「これまでの努力が水の泡」「讃岐うどんの知名度が一気に崩れてしまいそう」「讃岐うどんブームが台無しになった」といった大仰なコメントも紹介されていますが、先述したように「讃岐うどんブーム」のメインストリームは「讃岐うどん巡りブーム」の現場であって、この「不正表示事件」はそのサイズで言えば、「讃岐うどんビジネス」の中の一部である「半生うどんビジネス」の中の、さらに一部である「さぬきの夢2000を使った商品」の中の、さらに一部の「県農協が販売していた商品」だけに起こった事件です。従って、その影響は一時的に多少は「半生うどんビジネス」全体に影響したでしょうし、県農協は一時的に大きく信用を落とすことになるでしょうが、それで「讃岐うどんの知名度が崩れ」たり「ブームが台無しに」なったりするほどの事件ではなかったと思います。

 しかし、報道が大きく取り上げたため、とばっちりを受けた形の県生麺事業組合も記者会見を開くことになりました。

(11月13日)

「うどんは潔白」 生麺協同組合側が強調

 県農協が「県産小麦100%使用」として販売した商品の不正表示問題を受け、県生麺事業協同組合(香川政明理事長)は12日、高松市役所で記者会見し、消費者へ適正情報を提供したり、違反行為の防止体制を整備する方針を発表した。…(中略)…香川理事長は「オーストラリア産小麦でも県産小麦でも品質は優良。今回は県農協の不正表示だけが問題で、讃岐うどんにやましい点はない」と強調。組合として、安全・安心を訴える試食キャンペーンや新聞広告の掲載を実施し、表示に関する組合員の勉強会を開催する考えを示した。

 「今回は県農協の不正表示だけが問題」というのは全くその通りですが、組合内にも「さぬきの夢2000」を使った商品を販売しているところがいくつもありますから、この事件を無視するわけにはいきません。

 続いて14日には、シリーズ「追跡」で1ページの大特集が組まれました。内容はほぼこれまでの経緯をなぞりながら関係者や識者のコメントを交え、最後は「企業倫理が問われている」という決まり文句でまとめられていましたので、目新しい部分だけをピックアップしながら見ていきましょう。

(11月14日)

シリーズ「追跡」/県農協の讃岐うどん不正表示 真相究明の責任重く 元凶は”丸投げ” 組織的関与が焦点に

 (前略)…限られた情報を総合すると、動機をめぐっては「さぬきの夢」小麦の加工の難しさにあるという見方が強い。実際に、県農協が原料を「さぬきの夢」小麦に切り替えた2002年11月の当初から、下請け業者は製粉会社に対し「製造しにくい」と訴えていたという。県農協は原料切り替えという重要局面にもかかわらず、技術的な裏付けがないまま”丸投げ”していた。「チェック体制が甘かった」(県農協幹部)という以前に、暗雲が立ち込めている段階で製造を見切り発車させ、不正の原因をつくったといえる。

 これまで地元メディアは「さぬきの夢2000」について、行政側の発表に沿った形で称賛記事を数多く掲載し、「扱いにくい」等の不安要素はすべて製造業者の意見として紹介していましたが、ここにきて初めて、新聞の見方として「(行政の)見切り発車」という表現を使いました。不正表示事件発覚を機に、ようやく“忖度”の呪縛が少し解けてきたのかもしれません。

 …(中略)…県農協幹部は讃岐うどんの不正表示が判明した8日の謝罪会見で反省の言葉を述べながら、そうめんや冷や麦の疑惑を明かさなかった。その発覚後に再度謝罪し、不信感に拍車を掛けた。今度も同じ轍を踏むとすれば、県農協の根幹が揺らぐといっても過言ではない。

 「手延半生讃岐うどん大地」の不正表示に続いて、同じく県農協の販売する「手延べそうめん大地」と「手延べひやむぎ大地」も不正表示が疑われる検査結果が出たのですが、それを県農協は「知ってたはずなのに隠していた」という話です。記事はこの後、業界人や識者からの「許せない」「まじめに努力しているうどん店がかわいそう」「民間企業ではあり得ない品質管理だ」「『讃岐うどん』のイメージを根こそぎ壊しかねない」等々の意見や指摘を紹介していましたが、その中で「さぬきうどん研究会」会長の真部先生はこんなコメントを。

 「空海が伝え、お遍路さんに接待しながら、伝え広まってきた讃岐うどん。本来は純粋で静かなブームであるべき」と、さぬきうどん研究会の真部正敏会長。「今のブームは作られたブーム。それに踊らされ不まじめでいると、いつかしっぺ返しを食う。讃岐の文化まで否定されることのないよう、今こそ、原点に返って讃岐うどんを考えてほしい」という。

 真部先生は一貫して「讃岐うどんブーム」を苦々しく思われていたようで、事あるごとに「讃岐うどんブーム」を悪者にされておられましたが、今回は「本来は純粋で静かなブームであるべき」とありますから、今の讃岐うどんブームは「“不純”で“騒々しい”」というご指摘です。

 続いて、「不正表示事件」のその後の周辺への影響に関する記事です。まず、県が進めていた「さぬきの夢2000こだわり店」の新規募集が延期されました。

(11月30日)

「さぬきの夢2000」100%使用「こだわり店」募集延期 県、製麺講習充実優先

 うどん用に開発した県産小麦「さぬきの夢2000」の100%使用店を認証する「こだわり店」の募集を、県が延期していたことが、29日分かった。県農業生産流通課は「(うどんを)作りにくいという意見もあり、まず、うどん店向けの講習会などを充実させたい」としている。

 「こだわり店」は、「さぬきの夢」小麦を使ったうどんを常に消費者に提供することで小麦のブランド化や普及拡大を図るのが狙い。昨年12月に制度を創設し、今年2月に4店を初めて認証した。2年目となる本年度は、11月下旬の募集開始を予定。製粉・製麺業者や学識経験者でつくる「さぬきの夢2000」推進プロジェクトチームの審査を経て、来年1月にこだわり店を公表する計画だった。

 しかし、県農協の讃岐うどん不正表示問題で消費者のイメージダウンが懸念されることや、17日に開かれた有識者のプロジェクト検討会で、ブランド化の推進に「時期尚早」とする意見が出されたことなどを踏まえ、本年度の募集延期を決めた。農業生産流通課は「うどん店の間にさまざまな意見や要望がある。講習会などを開いた上で、あらためてこだわり店を募集したい」としている。

 有識者のプロジェクト検討会で、「さぬきの夢2000」のブランド化に「時期尚早」という意見が出たそうです。やっぱりみんな、「夢2000」は「ちょっと無理して売り出そうとしている」ということに薄々気付いていたみたいですね。

 続いて、不正表示事件の影響で「うどん製品」の売上が最大3割落ち込んだとの報告がありました。

(12月9日)

11月のうどん製品、売り上げ1~3割減 不正表示問題響く 県内製麺業者聞き取り調査

 讃岐うどんの不正表示問題が発生した11月のうどん製品の売り上げが昨年と比べて最大3割落ち込んだことが、県内製麺業者に対する県の聞き取り調査で明らかになった。…(中略)…贈答品や量販店、通信販売向けのうどん製品を販売する複数の業者を対象に調査した結果、「11月の売り上げが、前年比1~3割減少していた」と説明。「さぬきの夢2000」小麦を100%使用した製品も、前年同月を約2割下回ったとしている。…(以下略)

 「平均3割」ではなく「最大3割」とありますから、おそらく平均では1~2割程度の売上減。不正表示事件を起こした「さぬきの夢2000小麦100%使用」の商品は、事件がかなり深刻そうに報道されていたので壊滅状態になっているのかと思ったら、「前年比2割減」程度に収まっていたとのことです。

 それにしても、ここまでの「さぬきの夢2000」のプロジェクトに関するマスコミ報道を振り返ってみると、「関係者の“悲願”」に始まって「研究開発の経緯」、「作付面積や収穫高の推移」、「行政等のPR政策」等々、「作り手」側の話とそれに対する識者の意見は盛んに報道されてきましたが、それを買ったり食べたりする「消費者」の視点に立った報道はほとんど見られません。そのあたりの経緯を見ると、改めて、「さぬきの夢2000」の事業は“文化活動”的な意味合いが強いのではないかと思われます。

小規模うどん店の排水規制問題が勃発

 続いてこの年、「讃岐うどん巡りブーム」を牽引する「製麺所型うどん店」などの小規模うどん店に突然、「排水規制問題」が降りかかってきました。

(5月11日)

うどん製造排水を検討 来月中に処理技術選定 県小規模事業場あり方研初会合

 法規制を受けない小規模事業場などの排水について対策を検討する「県小規模事業場負荷量削減あり方研究会」の第1回会合が10日、高松市番町二丁目の高松商工会議所会館であり、環境負荷が比較的大きいうどん製造排水を当面検討することを確認した。うどん店と製麺所を対象に近くアンケート調査を実施し、結果を踏まえ、県が開発支援する廃水処理技術を6月中に選定する。

 県内には2002年度末現在、排水が日量50トン未満で水質汚濁防止法の規制を受けない小規模事業場、また同法の対象とならない未規制事業場が計約1万6000カ所あるが、これらを発生源とする汚水はCOD(化学的酸素要求量)ベースで県全体の2割強を占めており、統一的な排水対策が急がれていた。

 研究会は学識経験者や製麺業界代表ら8人で構成。初会合には7委員が出席し、竹川薫香川大農学部教授を会長に選んだ。会合では、香川を代表する事業場で排水の有機物含有量が生活排水の約5倍と高いことから、うどん店と製麺所を中心に製造工程内での負荷削減策と排水処理策を検討する方針を決定。水質改善のためのマニュアル作成に加え、新たな処理技術による負荷削減を探ることを申し合わせた。

 具体的には、うどん店と製麺所各100カ所に対し、作業内容や排水管理状況、処理施設の導入・維持管理に費やせる金額などを尋ねるアンケート調査を実施。併せて低コストな処理技術を民間から募集し、6月に開く次回会合で選定する。選定した処理技術は県の補助で9月頃から5ヶ月間試験を行い、年度内に成果をまとめる。県は「業界が導入しやすい処理技術、排水対策を確立したい」と話している。

 記事に基づいて経緯を簡単に整理すると、まず、県内に水質汚濁防止法の適用外の小規模の事業場が約1万6000カ所あり、それらから出る汚水がCDOベースで県全体の2割強あるということで、県が「統一的な排水対策」に取り組むために「県小規模事業場負荷量削減あり方研究会」を立ち上げました。そして、研究会の第1回の会合で、
①小規模うどん店と製麺所に、排水処理に関するアンケート調査を行う。
②導入する処理技術を民間から募集し、県が業者を選定する。
という内容を決めたとのことです。

 これを受けて、四国新聞が2カ月後に特集記事を掲載しました。少し長いですが、当時この案件がどう捉えられていたのかがよくわかるので、要点を抜粋してみましょう。

(7月11日)

シリーズ追跡…うどん屋の排水対策 環境保全も誇れる食に 安価の処理技術探る

 ピークを過ぎたといわれながらも、讃岐うどんブームの腰はまだまだ強い。しかし、全国に誇る食文化もいいことづくめではないようだ。製造工程などで出る排水は水環境に少なからず負担を及ぼす。県内に約800あるうどん店や製麺所では、うどんのゆで汁や飲み残しのだしをそのまま河川などに流している業者が珍しくないという。せっかくのブームに水を差すことなく、地場産業と環境の調和をいかに図るか。県は有識者らによる研究会を5月に設立。民間事業者から募集した排水処理技術の中から優れた提案を選び、実証実験を経て普及を目指す。…(中略)…

零細が大半

 うどんの製造過程で出てる排水は高濃度のでんぷんを含み、垂れ流しによって河川やため池の水質を悪化させる要因になっている。ただし、大半のうどん店、製麺所が排水を垂れ流しても法的には問題がない。1日の最大排水量が50トン未満の小規模事業者なら、水質汚濁防止法の規制を受けないためだ。県内の麺類製造業者で、2003年3月時点で濃度規制の対象となる50トン以上の事業者は5軒しかなく、残る333軒は50トンに満たない。10トン未満が全体の8割を超え、零細業者が圧倒的に多い。小規模事業場でも、下水道が整備されれば3年以内に接続が義務付けられる。合併処理浄化槽を設置する方法もある。「お金をかければかけるほど水はきれいにできる」と県環境管理課。しかし「零細事業者にとって負担が大きすぎる」。…(中略)…

シンボルに

 香川県の下水道、合併処理浄化槽など生活排水処理施設の人口普及率は02年度に50.6%と過半数に達したが、全国平均(75.8%)を大きく下回っている。排水対策を考える上で、規制の網に掛からない小規模事業場、未規制事業場が実は軽んじられない。「ちりも積もれば…」で、CDO(化学的酸素要求量)でみた汚濁負荷量が県全体の23%を占める。その代表格がうどん店、製麺所。県環境管理課は「小規模事業場の汚濁負荷量を低減すれば、ある程度めどが立つ」と強調する。そこで、うどん店、製麺所をシンボルとして排水対策に乗り出そうと、県は本年度、浄化技術の開発など関連予算1000万円を計上。大学教授や業界団体代表らを委員に「県小規模事業場負荷量削減あり方研究会」(会長・竹川薫香川大学農学部教授)を発足させた。

秋から試験

 「低コスト、コンパクトでメンテナンスが容易な排水技術を」。研究会は5月から6月に技術の募集を行い、県内外の32事業所から応募があった。補助額は経費の半額で、限度額は排水処理技術開発支援が250万円。施設運転・維持管理が50万円。今月8日に開かれた第2回会合で補助対象とする技術の選定を審議し、県が候補の事業者に意向などを確認した上で今週中に公表を予定する。選定に当たり、最もポイントになるのはコストだ。中には1000万円を超える高性能の技術の提案もあったが、現実離れしている。逆に、安くても性能が悪くては用をなさず、いかにバランスをとるかが問われる。…(中略)…

良識に訴え

 讃岐うどんブームを支えているのは、製麺所の一角で食べさせてくれるような小さな店だ。夫婦だけだったり、おばあさんが一人で切り盛りしている所もある。みだりに厳しい規制をかけて追い詰めては、取り返しのつかない損失になる。その一方、製造業の大手などでは環境会計を導入する企業が増え、環境問題にきちんと対応することが企業の社会的責務となっている。県も「事業者の良識に訴えるしかない」と自主的な努力に期待する。県民自慢の讃岐うどんが、水環境を踏み台にして生まれていると言われてはブランドイメージも傷つく。味とともに、環境保全も誇れる食文化を築き上げたい。…(以下略)

 2つの記事を合わせて要約すると、まず、香川県に約1万6000カ所ある水質汚濁防止法の適用外(1日の最大排水量が50トン未満)の小規模の事業場から出る汚水(県全体の2割強)の処理を進めるために、その中の333軒ある「うどん店、製麺所」を排水対策の「シンボル」として“狙い撃ち”しようということです。具体的には「対象となるうどん店、製麺所に排水処理施設を設置させる」という方法で進めることとし、その排水処理施設を扱う業者を早々に県が選定するという話になりました。

 そして、7月に県が処理技術を補助する業者を決定し、11月からうどん店の排水処理の実証実験を開始しました。

(7月28日)

処理技術2件を選定 県、うどん製造排水対策で

 うどん店と製麺所の排水対策を検討している県は27日、民間事業者から募集した排水処理技術のうち2件を補助対象に選定したと発表した。今後、うどん店にプラントを仮設し性能実験を実施、実用性を検証する 県は本年度に「県小規模事業場負荷量削減あり方研究会」(会長・竹川薫香川大農学部教授)を発足させ、法規制を受けない小規模事業場の排水対策に着手。香川を代表する業種で、環境負荷が比較的大きいうどん製造時の排水を当面の検討対象としている。

 民間事業者から処理技術を募集したところ、32件の応募があり、今月8日に開いた同研究会の会合で審議。処理水質や設置費・維持管理費、実用性などを考慮して、四国技研工業(丸亀市)とCNT(高松市)の処理技術を補助対象に決めた。四国技研工業は維持管理に優れた「流動担体接触ばっ気」と呼ばれる方式、CNTは処理水質を重視した活性汚泥方式を提案している。両社に対し、県はプラント制作費と運転管理費の半分を補助する。協力を得られるうどん店にプラントを仮設し、10月から2005年2月まで性能実験を実施。結果を基に、小規模事業場の水質浄化対策をマニュアルを取りまとめる。

(11月16日)

排水処理対策万全に うどん実証実験スタート 県が公募2業者対象

 うどん店と製麺所の排水処理対策を検討している県は15日、公募で選んだ2件の処理技術の性能実験を高松市内のうどん店で始めた。来年3月までの実験で実用性を検証し、経営規模が小さいうどん店での導入に適した排水処理技術の確立を図る。

 県は、排水が日量50トン未満で法の規制を受けない小規模事業所の排水処理対策に向け、今年5月に県小規模事業場負荷量削減あり方研究会(会長・竹川薫香川大農学部教授)を発足。処理技術を公募し、民間の2事業者を7月に選定した。試験は、同市春日町の「かすが町市場」に処理装置を仮設。日量約10トンを処理し、汚濁物質の含有量、汚泥発生量、電力量、騒音、においなどの項目を検査する。設置費は250~280万円、管理費は月2万円前後。県は同研究会の指導を得て、日量50トン以上の事業所と同じ規制を満たす基準まで処理できる技術開発を目指す。…(以下略)

 というわけで、この「うどん店の排水処理問題」は、「讃岐うどん巡りブーム」を牽引する小規模の製麺所型うどん店等に突然「排水処理施設を導入しろ」という話になってきました。しかもその施設は高いものでは250万円以上もするもので(「270万円の見積が来た」という小規模うどん店も何軒もありました)、多くの「讃岐うどん巡り」の人気店をはじめとする小規模うどん店の間で、ちょっとした騒ぎになったわけです。

 しかし、この一連の経緯には、何かちょっとよくわからないところもいくつかありました。

 例えば、県内に約1万6000カ所あるとされる規制適用外の小規模事業場から出る汚水に対策を打つなら、すべての小規模事業場に一律に規制を強化すればよいのに、研究会の1回目の会合でいきなり「(333店の)対象となる小規模うどん店だけに適用する」という話になったのはなぜか? 「シンボルとして」という理由は、要するに「見せしめ」みたいなものではないのか? …等々の疑問は水面下で筆者にも寄せられ、中には「これは環境問題から出てきた話ではなく、讃岐うどんブームで賑わっている小規模の製麺所型うどん店を狙った、何か別の意図があるのではないか?」という“陰謀論”のようなものまで聞こえてきました(笑)。

 また、川や海の水質汚染では主に工業廃水に含まれる「金属類」や生活排水に含まれる化学製品由来の「窒素」と「リン」が一番に問題視されているわけですが、今回の排水規制の話は、なぜか突然、これまで日本中でほとんど問題視されてこなかった「でんぷん」が一番の“悪者”にされているのはなぜか? でんぷんは窒素もリンも含まないただの炭水化物であり、水質汚染の主犯というより、むしろ魚や貝のエサになっているのではないか? ということは、これも「“人気の小規模うどん店叩き”ありきの後付けの理屈ではないか? …という意見も聞きました。

 さらに、「百歩譲って排水処理の施設を導入するにしても、各店が自由に業者を選んで排水基準を満たせばいいではないか」という意見もあり、そこから「利権や癒着絡みで事が進められているのではないか」と危惧する声も聞こえてきました。単純計算で排水処理施設1件250万円で300軒に設置すれば補助金も含めて総額10億円オーダーにはなりますから、まあそれなりに“ウワサ”が出ても仕方がありませんが、残念ながらそのあたりを解明するジャーナリズムが“世間の狭い”ローカルにはなかなか出てこないので、いずれも真偽の程は全くわかりません。

 ちなみにその後、排水処理施設は設置しなかった店もあるようで、設置がどこまで義務づけられていたのかについては筆者レベルではよくわかりません。また、これも後に「漁獲量が減った」とか「アサリがいなくなった」等の話も出てきましたが、排水からでんぷんが減ったこととの因果関係は明らかになっていません。いずれにしろ、この「小規模うどん店を狙った(?)排水規制問題」は、ちょっと後味がスッキリしない騒動ではありました。

生麺組合がうどんのPRキャラクターを決める

 では、気を取り直して(笑)その他のうどん関連記事を。まず、県生麺事業協同組合がうどんのPRキャラクターを発表しました。

(1月23日)

さぬきうどんPRキャラクター 最優秀賞に祖一さん(丸亀)

 讃岐うどんを全国にアピールしようと、県生麺事業協同組合が募集していたPRキャラクターの最優秀賞に丸亀市の祖一康子さん(25)の作品が決まった。今後、同組合では作品をTシャツのデザインに採用し、組合が展開するキャンペーンなどで活用していく。…(以下略)

H16記事・うどんキャラクター

 香川県内の「うどんキャラ」は、知名度ではぶっちぎりで「うどん脳」ですが、あと、組合のこれと、“うどん県の観光課係長”を名乗る「うどん健」がいます。

2003年の観光客入込数は、“うどん効果”で5.4%増

 県が「2003年の香川への観光客入込数が“うどん効果”で前年から4.5%増加した」と発表しました。

(5月9日)
03年県外からの観光客数 778万人で2年連続増 うどんブームけん引

 2003年に県外から香川を訪れた観光客数は778万人で、前年に比べ5.4%増加したことが、県の動態調査で分かった。全国区の讃岐うどんブームに引っ張られ、四国の他3県からの入り込み客が大幅に伸びた。2年連続で前年を上回り、しまなみ海道が開通した1999年の水準に回復した。…(以下略)

 毎年県(観光協会)が発表している「観光客入込数」は“推計”なので「778万人」という実数にはあまり意味がありませんが、カウントの仕方はおそらく毎年同じなので、その「推移」はある程度参考になります。冒頭にも書きましたが、やはり「讃岐うどん巡りブーム」はまだまだ衰えを見せていません。

「うどん」でデビューしたロックバンドが凱旋ライブ

 デビュー曲が「うどん」というロックバンド「ばんどえんど」が、香川のうどん店で凱旋ライブを行いました。

(8月3日)

県出身ドラマーのロックバンド、自作曲『うどん』PR うどん店巡回 凱旋ライブ盛況

 7月に自作曲『うどん』でデビューしたロックバンド「ばんどえんど.」が2日、県内を訪れ、うどん店3店舗でライブ活動を行った。メンバーの一人でドラムの「しらちん」(本名、年齢とも未公表)は観音寺市の出身。初の凱旋ライブで曲を披露し、「うどんブームとともに全国的に有名になりたい」と意気込みを語った。…(中略)…『うどん』はうどん製品のキャンペーンソングにも選ばれ、都内のスーパーマーケットなどで流されている。…(以下略)

 ライブを行ったうどん店は、宇多津町の「めりけんや・かけはし店」と観音寺市の「つるや」と「うまじ家」です。

サンポートで「うどんフェスティバル・世界の麺好きサミット」開催

 高松市のサンポートエリアで、県主催の「うどんフェスティバル」が開催されました。

(11月8日)

世界の麺好き集合 高松でうどんフェス タレントら意見交換

 香川の食文化を代表するうどんについて考える「うどんフェスティバル」が7日、高松市のサンポート高松であった。タレントの藤崎奈々子さんや中華料理家の楊天福さんらを招いたトークステージ「世界の麺好きサミット」や手打ちうどん教室などさまざまなイベントが行われ、開場は麺づくしの一日となった。

 かがわ国際会議場で開かれたトークステージでは、うどん、中華麺、パスタなどを愛するパネリストが登場。「言った者勝ち・麺好きトーク」をテーマに、麺への思い入れやエピソードについて持論を繰り広げた。さぬきうどんブームの仕掛け人として知られる四国学院大教授の田尾和俊さんは「僕は客のプロ、うどん博士ではない」と笑いを誘い、「ネギを自分で切って入れたりする怪しさが若い世代の興味を引いた」と軽妙な語り口で持論を述べた。麺好き代表として参加した藤崎さんは、しょう油をかける讃岐うどんの食べ方に驚いたエピソードを披露し、「シンプルでおいしく、健康ブームにも合う」とうどんの魅力をアピール。楊さんは「オープンテラスで焼きうどんを味わうとか、チリソースをかけたりするのも面白い」とユニークな提案を紹介した。討論の指南役を務めたのは伝承料理研究家の奥村彪生さん。「食べ物は地域の文化。人々の生活臭が訪れる人を感動させる。讃岐うどんは今のままが一番」と話し、会場の共感を呼んでいた。

H16広告・うどんフェスティバル

 基調講演を行った伝承料理研究家の奥村彪生先生は、ファクトベースのすごい研究をされておられて、物腰が柔らかくてとてもとても感じのいいおじさんでした(NHKの『チコちゃんに叱られる』にも出たことがあります)。ちなみに、奥村先生は後に豊富な資料を基に「うどんは京都の禅寺で発祥した」という説を発表し、ずっと「弘法大師由来」を語っていた讃岐うどんの“権威筋”をざわつかせました(笑)。

ニューヨークタイムズが「讃岐うどんブーム」を紹介

 アメリカの『ニューヨークタイムズ』に、「讃岐うどん」が大きく取り上げられました。

(11月12日)

日本で一番人気の麺は「さぬきうどん」(NYタイムズ紙)

 米・ニューヨークで讃岐うどんなど香川の魅力を紹介しているボランティア団体「SANUKIプロジェクト」から11日、朗報が届いた。有力紙ニューヨーク・タイムズ紙(10日付)に「ここ最近の日本の麺類で一番人気は讃岐うどん」と大々的に紹介されたという。メンバーの大坂美紀さんらは「不正表示問題で業界が苦労していると聞いています。少しでも明るい光が届けられたらうれしい」と地元業界にエールを送っている。

 SANUKIプロジェクトは、高松市出身でニューヨーク在住の会社員伊藤智子さんが中心となって、県出身の留学生らで組織、讃岐うどんなど香川の良さをPRしている。今年6月末には、日本領事館で手打ちうどん実演会を開き、ニューヨーカーに本場の味を楽しんでもらったばかり。「Cold Soba and Udon Magic」と見出しを付けた記事では、「日本の麺類で一番人気は讃岐うどん。太くてこしがあって香川の常食。生地の塊の上を歩いてダンス。そして練るという一連のプロセスで作られる」などと紹介。「800店のうどん屋をレポートした本がベストセラーとなり、香川では現在、うどんツアーやうどん教室も行われている」と、最近のブームについても触れている。ニューヨークでの活動がきっかけとなって今回取材を受けた伊藤さんと大坂さんの2人は、「写真付きでこんなに大きく取り上げられるのは本当に快挙。これからも讃岐うどんと香川の良さをアピールしたい」と声を弾ませて張り切っている。

 「讃岐うどん」が海外の大手新聞で紹介されるのは、1999年にフランスのタブロイド紙『クーリエ・アンテルナショナル』に「麺の聖地巡礼」と題して見開き2ページで紹介されて以来(「平成11年」参照)、確認されたものでは2件目です。ちなみに、この『ニューヨークタイムズ』の記事は当時、ニューヨークの知人から筆者の元に画像が届けられましたが、上記記事中にある「最近のブームについても触れている」という部分にはこう書かれていました。

(2004/11/10 New York Times ニューヨークタイムズ)
(前略)…But it was little known until 2002,when a Kagawa university professor published a surprisingly entertaining book,“Osorubeki Sanuki Udon”(“The Magic of Sanuki Udon”),with about 800 tasting reports on local noodle shops. The book become a national best seller,and Kagawa has developed a Sanuki Udon cottage industry of tours,classes and tastings,like the Peter Mayle-theme tours of Provence.

 アバウトに意訳すると、「(讃岐うどんは)2002年から知られ始めました。そのきっかけは香川の大学教授が出した驚くべきエンタメ本『恐るべきさぬきうどん』(ザ・マジック・オブ・讃岐うどん)で、これは約800店の田舎のうどん屋を食べ歩いたレポート。この本は全国的なベストセラーになって、そこから香川は「讃岐うどんの小屋みたいな製麺所と食べ比べながら巡る」というツアーが盛り上がっています。例えるなら、ピーター・メイルがプロヴァンスの旅を創出したみたいな話です」という感じですか(「2002年」とか「800店」とかの数字はちょっと間違ってますが・笑)。

 最後に書かれている「ピーター・メイル」の例えは、「ピーター・メイルという作家が『南仏プロヴァンスの12カ月』という本を出してベストセラーになり、それがきっかけでそれまで無名だった南フランスのプロヴァンスという小さな町がヨーロッパの大人気避暑地になった」という話ですが、そんな世界的な話と並べられるとは、『恐るべきさぬきうどん』もえらい持ち上げられたものです(笑)。

 ちなみに、『恐るべきさぬきうどん』は『ニューヨークタイムズ』では「The Magic of Sanuki Udon」と訳されていますが、フランスの『クーリエ・アンテルナショナル』では「Terribles Udon de Sanuki」と書かれていました。「Terrible(恐ろしい、戦慄の…)」じゃないと思いますが(笑)、どうも、あの『恐るべき』のニュアンスをうまく表す外国語がないみたいです。

うどん関連広告は3割近く減少、オープン広告はゼロ

 うどん関連広告の本数は、前年の120本から3割近く減って88本でした。この頃になると、かつての上位常連だった「かな泉」や「さぬきうどん」「さぬき麺業」「川福」等々は新聞広告から大きく後退。また、この年はオープン広告もありませんでしたが、うどん業界が衰退しているわけではないので、うどん業界のPR手段が新聞広告から離れつつあるのではないかと思われます。

<県内うどん店>
【高松市】

「味芳」(高松市木太町)………………8本
「元祖五右衛門」(高松市古馬場町)…3本
「うどん棒」(高松市亀井町)…………2本
「さぬき麺業」(高松市松並町)………2本
「かな泉」(高松市大工町他)…………1本
「わかな」(高松市常盤町)……………1本
「愉楽家」(高松市林町)………………1本
「川福」(高松市寿町)…………………1本
「さぬきや」(高松市塩上町)…………1本
「楽屋うどん」(高松市成合町)………1本
「おおしまうどん」(高松市太田上町)1本
「天霧」(高松市高松町)………………1本
「むさし」(高松市屋島西町)…………1本
「ゆめかいどう」(高松市春日町)……1本
「はまかいどう」(高松市茜町)………1本
「こんぴらや」(高松市中間町他)……1本
「てら屋」(高松市檀紙町)……………1本
「北山うどん」(高松市鬼無町)………1本
「ヨコクラうどん」(高松市鬼無町)…1本

【東讃】

「郷屋敷」(牟礼町)……………………7本
「八十八庵」(さぬき市長尾)…………2本
「吉本食品」(大内町)…………………1本
「入谷製麺」(さぬき市長尾)…………1本
「野田屋」(さぬき市長尾)……………1本
「寒川」(三木町)………………………1本
「うえ松うどん」(香南町)……………1本

【中讃】

「はな庄うどん」(国分寺町)…………2本
「番屋本店」(坂出市林田町)…………2本
「めりけんや」(宇多津町)……………2本
「丸幸」(飯山町)………………………2本
「いきいきうどん」(坂出市京町)……1本
「山下うどん」(坂出市加茂町)………1本
「寅丸うどん」(坂出市川津町)………1本
「つの山うどん」(坂出市富士見町)…1本
「塩がま屋」(宇多津町)………………1本
「一屋」(丸亀市三条町)………………1本
「中村」(丸亀市土器町)………………1本
「まごころ」(丸亀市蓬莱町)…………1本
「山下うどん」(善通寺市与北町)……1本
「まいどまいど」(飯山町)……………1本
「綾南町うどん会館」(綾南町)………1本
「まえば」(綾歌町)……………………1本
「サヌキ食品」(綾歌町)………………1本
「かりん亭」(満濃町)…………………1本
「こんぴらや」(琴平町)………………1本

【西讃】

「将八」(観音寺市他)…………………2本
「七宝亭」(観音寺市吉岡町)…………2本
「渡辺」(高瀬町)………………………1本
「山勝」(山本町)………………………1本

【県外うどん店】

さぬきめん坊(京都市中京区)…………1本

<県内製麺会社>

「石丸製麺」(香南町)…………………5本
「日糧」(詫間町)………………………2本
「サンヨーフーズ」(坂出市林田町)…1本

<その他うどん業界>

「香川県生麺事業協同組合」……………4本
「中野うどん学校」(琴平町)…………1本
「さぬき麺機」(高瀬町)………………1本

(平成17年に続く)

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