さぬきうどんのメニュー、風習、出来事の謎を追う さぬきうどんの謎を追え

vol.63 新聞で見る讃岐うどん

新聞で見る平成の讃岐うどん<平成17年(2005)>

(取材・文: 記事発掘:萬谷純哉)

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  • vol: 63
  • 2023.04.27

大きな動きはなく、静かな1年

 平成17年(2005)の讃岐うどん界は、業界的にはあまり大きな動きもなく、静かな1年でした。一方、「讃岐うどん巡りブーム」は新聞では記事にならなくなってきましたが、旅行情報誌の香川版ではどこも「讃岐うどん巡り」がトップ特集の定番となっていて、「香川の観光の目玉は讃岐うどん巡り」という人気がすっかり定着、“高値安定”状態がずっと続いています。この後、平成18年(2006)に映画『UDON』が公開されて「讃岐うどん巡りブーム」は“二段ロケット”が発射され、平成21年(2009)に瀬戸大橋の通行料が土日1000円になって“三段ロケット”が噴射することになるわけですが、とりあえず、“嵐の前の静けさ”的な小ネタはこんなラインナップでした。

「さぬきの夢2000不正表示事件」は、何となく幕引き…

 前年11月に発覚した、県農協が「さぬきの夢2000小麦粉100%使用」と表示して販売していた「手延半生讃岐うどん大地」という商品にオーストラリア産小麦が80%も含まれていたという商品の不正表示事件は、
(1)事件の責任者の追及と処罰。
(2)信用回復のための施策。
の2つの局面で後始末が行われ、3月いっぱいで何となく幕引きになったみたいです。

 まず、1月に県が四国新聞のタブロイド判の「健康新聞」に信用回復のための記事を出しました。

(1月16日)健康新聞

よく知って、美味しく食べよう さぬきうどん

 「さぬきの夢2000小麦粉100%使用」と不正な表示をした「さぬきうどん」が販売されていた問題に対し、県内外から大きな反響がありました。また、県にはうどんや「夢2000」そのものを批判する声も届いています。その誤解を解くために改めて考えてほしい「うどん」について紹介します。

さぬきうどんとは?

 「さぬきうどん」とは製粉・製麺業者など「うどん」に関係する人々が長年にわたって培ってきた伝統的な製法・技術などで作り上げてきたものです。その独特のコシの強さ、のど越しのよさ、イリコだしのうまさ、さらには「ぶっかけ」「釜揚げ」など独自性のある食べ方が評価され、全国的なブームとなっています。本県のうどんに使用されている小麦粉の量は、全国の5分の1を占め、圧倒的に他の県を上回っています。

原料の小麦は?

 原料の小麦粉は「オーストラリア産スタンダードホワイト(ASW)」が流通量全体の約85%と多く、北海道や香川など国産小麦は約15%です。関係者のたゆみない努力、研鑽により、小麦粉に応じた製法でASWからも国産小麦からも、それぞれ特徴のあるおいしい「さぬきうどん」が作られるようになりました。

「さぬきの夢2000」とは?

 「県産小麦でさぬきうどんを作りたい、食べたい」という願いから、県農業試験場で育成した品種です。「夢2000」の独特の触感や香りを出したいという製麺業者の努力により、「夢2000」で作られたうどんのファンも着実に増加。1年を通して「夢2000」のうどんを提供していただけるうどん店を「さぬきの夢2000こだわり店」として認証しています。現在「夢2000」の流通量は全体の3%と、まだまだ少ないのですが、生産拡大と品質向上に努め、県産小麦としてのブランド化を推進しています。

最後に

 今回の一連の問題によって、「さぬきうどん」そのものや「夢2000」の評価が下がるものではないことをご理解いただき、今後とも「さぬきうどん」への応援と「夢2000」の生産振興にご協力をお願いします。

(香川県農政水産部、香川県健康福祉部)

 農協が不正表示をしたら、県に「讃岐うどん」や「さぬきの夢2000」そのものを批判する声が届いたとのこと。「読解力がないのに批判精神だけは旺盛な“輩”」はいつの世もたくさんいるようで(笑)、事件のとばっちりを受けた形になった県や組合はえらい迷惑です。記事の内容はこれまでいろんなところで書かれてきたことをなぞってあるだけですが、何はともあれ、信用回復に動かざるを得ません。

 続いて、不正表示をした県農協の理事長が辞任しました。

(3月9日)

県農協遠山理事長、辞任へ うどん不正表示で引責 後任は外部から

 県農協の最高意思決定機関である経営管理委員会は8日、協議会を開き、讃岐うどんに端を発した一連の不正表示問題の責任問題に絡み、遠山健治理事長から提出された辞任届を受理、31日付の辞任を了承した。後任については、組織一新を図る観点から、県農協の外部に人材を求める方針。新執行体制は26日の臨時総代会で公表される見通し。

 …(中略)…遠山理事長は2001年6月、県農協の初代理事長に就任。この間、約14万人の組合員を抱える県農協のトップとして、組織内の融和を図りながら、合併メリットの追求などに尽力してきた。ただ、不正表示問題では、製造元との契約書などの不備や県農協内部の食品管理のずさんさが露呈。今年1月の臨時総代会でも、組合員から執行部の管理体制の甘さに対する厳しい批判が相次いでいた。

 事件を起こした農協は、不正表示事件の発覚から4ヵ月経ってようやく「理事長の辞任」という形で収束を図ることになりました。そして一方では、事件の法的な裁きが下ったわけですが…

(3月17日)

製粉会社を書類送検 讃岐うどん不正表示問題で県警 

 県農協の讃岐うどん不正表示問題で、高松北署と県警生活環境課などは16日、不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで、県農協から製造を委託された製粉会社「安田製粉」(内海町)と前社長(80)、うどん作りを下請けした製麺会社「美麺本舗」(池田町)を書類送検した。販売元の県農協については、不正への関与を示す証拠がなかったとして立件を見送った。…(以下略)

 書類送検されたのは県農協から発注を受けた製粉会社と、さらにその下請けの製麺会社で、発注元で販売元の県農協は「証拠がなかった」という理由で“お咎めなし”という結果になりました。そもそも契約書も作ってなかった上に、日頃のチェックもしてなかったために指示書等も残ってなかったようで、それが「証拠がない」という事態を生んだという、何だかスッキリしない結果になりました。

「うどん店の排水規制問題」も、何かちょっと曖昧な感じに…

 前年にもう一つの大きな話題となった「小規模うどん店の排水規制問題」に関する新聞記事の続報は、この1本だけでした。

(3月26日)

うどん店の排水汚れ軽減へ指針 県が策定方針

 県はうどん店から出されるゆで汁などの排水の汚れを軽減する目的で、うどん店向けに排水対策マニュアルを策定する。打ち粉を十分に取り除くことなどで2割以上の水質浄化が可能として、うどん店や製麺所に実践を働き掛ける。同日、高松市番町二丁目の高松商工会議所であった「県小規模事業場負荷量削減あり方研究会」で説明した。マニュアルは「川や海に優しいうどんづくり」と名付け、実験データも示して製造上の注意点を説明。打ち粉をよく取り除き、水に流さず再利用すれば、汚れの約2割を削減できるという。また、2件の排水処理技術の実証実験で、設備や運転コストに改善点はあるものの、目標水準を満たすことを確認。処理施設の導入例として紹介していく。

 この問題が最初に取り上げられた時は、製麺所型の人気うどん店に軒並み県が指定した300万円近い排水処理施設の設置が法的に義務づけられるかのような勢いだったのですが、ここに来て「打ち粉を十分取り除く」とかいったマニュアルを策定するなど、ちょっとテンションが下がってきたように見えます。前年の項でも触れたように、これも何となくうやむやに終わった、スッキリしない騒動でした(「平成16年」参照)。

香川の地域プロサッカーチームの名称が「カマタマーレ讃岐」に決定

 うどん業界のニュースではありませんが、地元でちょっと話題になったのがこれ。

(10月26日)

コラム「一日一言」

 (前略)…香川でサッカーのJリーグ入りを目指すチームの名前は、大人気の「釜玉うどん」にちなんで「カマタマーレ讃岐」になった。賛否はともかく、かなりの覚悟とみた。同じうどん系なら、「ヌードル」などの手もあった。しかし全国に打って出るために、あえて選んだ。おしゃれな洋風のチーム名が多い中だから、だじゃれ系は相当に目立つ。…(中略)…もちろん郷土愛に燃えるサッカーファンには溺愛ムードの人も少なくないが、コシも艶もないのびきったうどんでは釜玉の醍醐味からほど遠い。つまり「カマタマーレ」は注目を集めた分、どうあっても強くならなければならなくなった。そこまで決心して名付けたのだろうから大したものだ。…(以下略)

 香川の地域プロサッカーチームの名前が「カマタマーレ」に決まった日、名前を決める委員の一人だった筆者の知人がさっそく「『カマタマーレ』になっちゃいました」と半笑いで報告してきました(笑)。聞くと、「讃岐うどんの代表的なメニューだということで『カマタマ』が採用された」と言うので、「釜玉は讃岐うどんの代表的メニューじゃなくて、山越のオリジナルネーミングのメニューですよ」と言ったらちょっと焦ってましたが(笑)。

 ちなみに、いくつかの人気うどん屋の大将によると、「2~3人で来たお客さんが全員釜玉を注文してきたら、ほぼ間違いなく県外客」だそうです。つまり、このブームの中でどうも全国的には「釜玉」が讃岐うどんの代表的メニューとして認知されているようですが(微妙に間違っているのですが・笑)、「カマタマーレ」の名前もそこに少なからず影響しているのかもしれません。

「うどんタクシー」の影響が福岡に?!

 県外の話ですが、讃岐うどん界の企画が影響したと思われる記事が載っていました。

(5月17日)

福岡で「らーめんタクシー」開業

 タクシーを2時間借り切り、割引料金で福岡のラーメン店をはしごできる「らーめんタクシー」を、福岡市タクシー協会が始めた。企画に賛同する市内の44店のうち、客が選んだ数軒をタクシーで回る。タクシー料金は昼間の小型で2時間5000円と、通常の貸し切りより3割程度安い。ラーメン店の飲食代は別。…(以下略)

 どう見ても「うどんタクシー」の二番煎じですが(笑)、「うどんのはしご」より「ラーメンのはしご」の方が絶対きついと思います。営業的にどうだったのか、続報はたぶん四国新聞には載らないと思いますが。

「ひょうげうどん」が登場

 
 香川町あたりに伝わる香川の奇祭「ひょうげ祭り」に、「ひょうげうどん」なる地域メニューが出てきました。

(10月25日)

祭り彩る「ひょうげうどん」

 「ひょうげ祭り」が今年も高塚山山頂の池の宮神社で豊作を祈っての神事の後、山を下り浅野2号地区、集落センターから新池への2キロの沿道であり、”ひょうげた”行列が練り歩きました。行列は町保存会の約150人の他、浅野小学校4年生の児童約80人がそれぞれ趣向をこらしたいでたちで参加しました。…(中略)…児童たちは集落センターで婦人会の人たちが作った「ひょうげうどん」をお腹いっぱい食べて本番に備えました。このうどんはひょうげ祭りを継続していくため平成11年に保存会発足を記念し、黒豆の甘煮を5粒入れ、天ぷらとねぎを加えて「ひょうげうどん」と名づけたそうです。

 「ひょうげうどん」の特徴は「黒豆の甘煮が5粒入っている」ことのようですが、なぜ「豆」なのかは書かれていません。「ひょうげ」と「豆」といえば、郷土のお菓子に「ひょうげ祭り」にちなんだ「ひょうげ豆」がありますが、そこつながりだとすると、「『ひょうげ祭り』にちなんだ『ひょうげ豆』にさらにちなんで『豆』を入れて『ひょうげうどん』」ということでしょうか(笑)。

 ちなみに、地域の祭りにくっついたオリジナルうどんは、坂出の「天狗まつり」と「天狗うどん」に続いて、この「ひょうげ祭り」と「ひょうげうどん」が2つ目。「天狗うどん」は今も健在ですが、「ひょうげうどん」は店であまり目にしません。「豆」をうまく演出して「映えるメニュー」にして、復活させてはどうでしょう。

ニューヨークで讃岐うどんをPR

 あとは、うどんを使ったイベントがいくつか新聞に載っていました。1つ目は、ボランティアグループ「SANUKIプロジェクト」が行った「ニューヨークで讃岐うどんを広めよう」という活動。

(2月24日)

讃岐うどんの生麺、NYに初上陸 日の出製麺所提供 日本料理店のメニューに

 製麺業の日の出製麺所(坂出市)が卸した讃岐うどんの生麺が23日、ニューヨークの有名ホテル内にある日本料理店の定番メニューとして初登場した。ニューヨークの料理店などで生麺が出されたのは初めて。売り出しに当たって三好修社長は「讃岐うどんを世界食にしたい」と意気込みを語った。

 生麺を卸すのは、グランドセントラル駅に近い有名ホテル「キタノニューヨーク」内の日本料理店「白梅」。当初は空輸しようと考えたが、輸送費用がかさむ上、夏場の対応が難しいため、冷凍することで鮮度を落とさずに海路輸送する方法を見出したという。日の出製麺所はニューヨークで讃岐うどんの定着を図っているボランティアグループ「SANUKIプロジェクト」(伊藤智子代表)の呼び掛けに応え、これまでプロジェクトが行ってきたイベントに参加。今回の取引は、三好社長が同ホテルに宿泊した際、「白梅」の料理長と意気投合して実現した。

 売り出し開始を記念して、「白梅」では23日から5日間、「本場さぬきうどんディナー膳」と銘打って、懐石料理の特別メニューと打ちたての讃岐うどんを提供するフェアーを開催。初日は三好社長も駆け付け、手打ち実演を披露した。ニューヨーク在住の県人は「ここで、こんなにおいしい讃岐うどんが食べられるとは」と久しぶりに故郷の味を堪能した。伊藤代表は「おそらく讃岐うどんの生麺は今回が全米初上陸。一人でも多くの人に讃岐うどんのおいしさを伝えたい」と話している。

 まず2月に、SANUKIプロジェクトの呼びかけに応えた坂出市の「日の出製麺所」が、ニューヨークの日本料理店「白梅」で「本場さぬきうどんディナー膳」と名付けた会席料理と讃岐うどんのコラボメニューを提供するフェアを開催。日の出製麺所の三好社長がニューヨークに讃岐うどんの生麺を送り、自らもニューヨークに乗り込んで手打ち実演を披露しました。

 続いて3月にも同じくSANUKIプロジェクトの呼びかけで、今度は観音寺市の「将八うどん」がニューヨーク入りしました。

(3月30日)

ニューヨークでも行列のできた讃岐のうどん屋 SANUKIプロジェクト 2日間だけ開店

 ニューヨークで讃岐うどんを広めようと活動しているボランティアグループ「SANUKIプロジェクト」(伊藤智子代表)は26、27日の両日(日本は27、28日の両日)、高級懐石料理店の協力を得て、2日間限定の「本場讃岐うどん屋」を開いた。ニューヨークの飲食店などで打ちたての讃岐うどんが出されるのは珍しく、未知の味を楽しもうと集まったニューヨーカーらの行列が絶えなかった。

 イベントは県出身の若者3人でつくるSANUKIプロジェクトが企画。緑茶飲料大手の伊藤園がマンハッタンに出店する高級会席料理店「KAI」と「将八うどん」(観音寺市)が協力した。「将八うどん」からは高橋正一社長と職人3人が駆けつけ、鮮やかな手打ち実演とコシの強い本場の味を披露。「KAI」1階のウインドー前で実演したことから、通りを行く人の目を引き、すぐに黒山の人だかりとなった。

 この日は、かやく、釜玉、ざる、ぶっかけの4種類を提供。一番人気はかやくで、釜玉も好評だった。「麺にコシがある」「ダシも味わい深い」などの反応があった他、「これは本物のパスタだ」と絶賛するイタリア人もいた。…(以下略)

 今度はマンハッタンの高級会席料理店「KAI」と「将八うどん」のコラボで、2日間限定の「本場讃岐うどん屋」をオープン。メニューは「かやく、釜玉、ざる、ぶっかけの4種類」とありますから、讃岐うどんそのままのメニューをニューヨークで提供したという形です。

麺通団団長が久しぶりにうどんお遊び企画「平成こんとん食堂」を開催

 四国学院大学に勤務することになった筆者が大学祭でのうどん関連の出店企画を依頼され、「どうせなら違った切り口のアプローチをしてみよう」ということで、「善通寺~空海~うどんの起源~こんとん」という連想から「平成こんとん食堂」なる企画をやりました。まず、筆者をよく知る「一日一言士」がコラムでいじってくれました(笑)。

(9月10日)

コラム「一日一言」

 「こんとん」をご存じだろうか。ほとんどの人が「知らない」と答えても無理はない。だって古すぎて誰も実物を見たことがないのだから。それは奈良時代に中国から伝わったうどんの先祖とされる食べ物だ。空海が伝えたとの説もあるが、いずれにせよ温めて食べるから「温飩(おんどん)」、それが食偏になって「饂飩(うんどん)」、「うどん」になったと一応言われている。しかし今のような細切り麺ではなかったらしい。ワンタンに近かったとか、あん入り団子のような菓子だったなんて説もある。もしそうなら、讃岐のあん餅雑煮ともどこかで関係があっても不思議でない。

 何がどうなって今のうどんになったのかは、はっきりしない。こんとん起源説を否定する人もいる。「これぞこんとん」と再現しても、「見たんか?」と言われれば議論は混沌。それならいっそ、新しい「平成こんとん」を作っちゃえと考えたのが、四国学院大教授の田尾和俊さんだ。趣味か本気か、若手うどん職人とせっせと開発に励んだ。さすが「怪しいうどんの人」。

 ゆでたり焼いたり揚げたりする他、タコス風「コンタコス」など、聞くだけでも楽しいメニューも考案した。チーズやちくわ、ダシの煮こごりを巻いたり、わさびや紅芋で味付け色付けしたのもある。10月末の大学祭で実演販売する計画だが、これで完成形ではなく、「いろんな店でおもしろいこんとんが広がれば」なんて思惑もあるようだ。さて肝心の味の方。ある会合で試食したところ、「これはいける」と言う人あり、反論する人あり、評価も混沌。うどん通を自認する讃岐人には何やら気になる展開だ。さあ、あなたも挑戦してみる?

 そして、イベントの紹介記事も新聞に載りました。

(10月20日)

学生ら創作料理に挑戦 うどんのルーツ「こんとん」生かす

 四国学院大学の田尾和俊教授や同大カルチュラル・マネジメント学科の学生らが、奈良時代に空海が中国から伝えた、うどんのルーツとされる「こんとん」を元にした創作料理に取り組んでいる。…(中略)…プロジェクトには善通寺市内などの若手うどん職人らも協力。「原材料は小麦粉と塩水」「麺の形をしていない」の2点を条件として、山本町内のうどん店で月に一度、創作活動に取り組んできた。

 メンバーらはうどんの生地をゆでたり、焼いたり、揚げたりと試行錯誤。紅ショウガやわさびを練り込んだ色鮮やかな「ゆでこんとん」の他、ダシの煮こごりやちくわ、ネギなどうどんの具材を巻き込んだ「こんタコス」など5品を開発した。…(以下略)

 記事はいきなり「奈良時代に空海が中国から伝えた」と書いていますが、空海は平安時代の人なので間違いです(笑)。イベントは「平成こんとん食堂」という名前で、本番の会場で実演販売したのは「ゆでこんとん」「焼きこんとん」「揚げこんとん」「こんとんボール」「こんタコス」の5品。このうち、売上トップは「こんタコス」で2位は「こんとんボール」でしたが、総合では別途で提供していた「普通のうどん」がぶっちぎりで売れました(笑)。「讃岐うどんは、地元では“イロモノ”は売れない」という貴重な教訓を頂きました。

 続いて、なぜかこの年、「長いうどんを作ってギネスに挑戦」というイベントが2つも出てきました。

(10月17日)

ギネスに挑戦 世界一長~いうどん 香大生6人が60メートル計測

 「世界一長いうどんを作ってギネスに挑戦しよう」。こんなユニークな試みが16日、高松市サンポートで行われた。同所で開かれた「さぬきフェスタ2005」のイベントの一環。企画に賛同した香川大の学生6人が挑戦した。

 作業は午前10時半にスタート。「さぬき麺業」が用意したうどんを平らに延ばし、約3時間かけて渦巻き状に切断した。強い日差しが照りつける中、麺が乾燥して切れないよう湿らせながら、ビニールシート上に慎重に伸ばしていった。計測の結果は、約60メートル。今回は予算の関係などでギネスブックへの申請はなかったが、参加者の三浦敬祐さん(23)は「この企画を通じ、香川を全国、世界に少しでもPRできればうれしい」と満足そうに話していた。

(11月24日)

うどん長さ世界一 99メートルギネス申請へ 高松の福祉団体

 お年寄りや障害者を招いたクリスマスフェスティバルが23日、高松市田村町の県身体障害者総合リハビリテーションセンターであった。参加者は、お年寄りらの長寿を祈り、世界一長いうどん作りに挑戦した。福祉ボランティア団体の「ウェルネス倶楽部」が隔年で開催。今回は、市内の10福祉施設の入居者や利用者ら約100人が参加した。

 イベントの目玉は「21世紀に121歳まで元気で」という願いを込めた121メートルのうどん作り。ボランティアとして参加した香川大生や参加者が円状に大きく延ばした生地を丁寧に渦巻き状に細く切った。お年寄りらが息を飲んで見守る中、麺の長さは約99メートルを記録。惜しくも121メートルに届かなかったが、大きな歓声が沸いた。同倶楽部によると、現在うどんの長さのギネス記録は10メートルで、近くギネスブックに記録を申請するという。…(以下略)

 10月に香大生、11月に福祉団体の「ウェルネスクラブ」が全く同じようなことをやっていましたが、後者は「香大生がボランティアで参加した」とあるので、企画の出所は同じかもしれません。ちなみに内容を確認すると、いずれも「大きく丸く伸ばしたうどん生地を外側から渦巻き状に細く切っていって長い紐状にしてその長さを測る」というチャレンジ。それをゆでて食べられる状態の「うどん」にするわけでもないので、これは「長いうどん作り」というより「図工」の世界のチャレンジですね。

 というわけで、以上が平成17年の主なうどん関連記事でした。その他、丸亀お城まつりと高松まつりの「うどん早食い大食い大会」や、「さぬきの夢2000」のスタンプラリーや、長尾の「どじょ輪ピック」や坂出天狗まつりの「天狗うどん」の振る舞い等々、恒例の行事やイベントも予定通り開催されていました。また、本欄ではもうキリがないのでピックアップしていませんが、「うどんを使った交流や慰問、体験教室」等も県下各地で盛んに行われていました。加えて、新聞に載らない「讃岐うどん巡りブーム」の現場は依然として好調で、何となくほのぼのと、静かな讃岐うどん界の1年でした。

うどん関連広告の本数は過去最低

 前年に年間100本を割り込んで88本だったうどん関連広告の本数は、さらに減って76本。オープン広告は2年連続「0」でした。

<県内うどん店>
【高松市】

「天霧」(高松市高松町)………………4本
「元祖五右衛門」(高松市古馬場町)…3本
「かな泉」(高松市大工町他)…………3本
「川福」(高松市寿町)…………………3本
「さぬき麺業」(高松市松並町)………2本
「ふる里」(高松市春日町)……………2本
「さぬきや」(高松市塩上町)…………1本
「うどんバカ一代」(高松市多賀町)…1本
「おおしまうどん」(高松市太田上町)1本
「しんせい」(高松市新田町)…………1本
「源平うどん」(高松市屋島西町)……1本
「やすべえ」(高松市東山崎町)………1本
「中北」(高松市勅使町)………………1本
「てら屋」(高松市檀紙町)……………1本
「北山うどん」(高松市鬼無町)………1本
「ヨコクラうどん」(高松市鬼無町)…1本

【東讃】

「郷屋敷」(牟礼町)……………………7本
「吉本食品」(東かがわ市)……………1本
「入谷製麺」(さぬき市長尾)…………1本
「野田屋」(さぬき市長尾)……………1本
「つるわ」(さぬき市長尾)……………1本
「つゞみ屋」(牟礼町)…………………1本
「寒川」(三木町)………………………1本

【中讃】

「丸幸」(丸亀市飯山町)………………2本
「はな庄うどん」(国分寺町)…………1本
「玉吉」(国分寺町)……………………1本
「番屋本店」(坂出市林田町)…………1本
「いきいきうどん」(坂出市京町)……1本
「日の出製麺所」(坂出市富士見町)…1本
「めりけんや」(宇多津町)……………1本
「塩がま屋」(宇多津町)………………1本
「まごころ」(丸亀市蓬莱町)…………1本
「歩」(丸亀市飯野町)…………………1本
「谷八」(多度津町)……………………1本
「山下うどん」(善通寺市与北町)……1本
「まえば」(綾歌町)……………………1本
「かりん亭」(満濃町)…………………1本
「小縣家」(満濃町)……………………1本

【西讃】

「将八」(観音寺市他)…………………1本
「七宝亭」(観音寺市吉岡町)…………1本

【県外うどん店】

さぬきめん坊(京都市中京区)…………1本

<県内製麺会社>

「大庄屋」(琴平町)……………………5本
「藤井製麺」(三木町)…………………3本
「石丸製麺」(香南町)…………………2本
「日糧」(詫間町)………………………1本
「合田平三商店」(豊浜町)……………1本
「亀城庵」(坂出市旭町)………………1本

<その他うどん業界>

「中野うどん学校」(琴平町)…………2本
「香川県生麺事業協同組合」……………1本
「さぬき麺機」(高瀬町)………………1本

(平成18年に続く)

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