香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

坂出市京町・昭和38年生まれの男性の証言

90歳のおばあちゃんが作るうどん

(取材・文:

  • [showa]
  • vol: 52
  • 2015.07.16

90歳のおばあちゃんが作るうどん

坂出市の白金町に堂尾いう店がある。もう60年は過ぎとる思うけど、今はばあちゃんひとりでしよるらしいで。前はじいちゃんと二人やったんやけどな。ばあちゃんも90歳超えたんちゃうか。平日しかやってないんやけど、ばあちゃんも年やからいつもしよるかどうかわからんけど昼すぎには閉めとるみたいや。じいちゃんも店やりよった時は夕方近くまでやりよった思うけどな。置いとるもんもうどんと天ぷらしかなかった。2年くらい前に行った時に、かけが130円くらいやったんちゃうか。かけ小と天ぷら乗せても250円せんかったはずや。昔は製麺所やったから、玉買いに行きよったけど、駐車場ないとこやから車乗るようになったらなかなか寄りづらくなったんや。

場所は坂出工業高校の近くや。33号線を丸亀向かって行きよったら前川のテント屋過ぎて二葉の自転車屋の角を左折(南)するんや。しばらく行ったら右側にあるんやけどな。わかりづらいと思うで。坂出は道狭いところが多いから車やと結構しんどいからな。東に少し行ったら兵郷のうどん屋がある。そこは有名やから客も多いやろうけど。

あと林田にもうどんといなり食うとこあったんやけど、そこは最近通ったらなくなっとったわ。東梶のバス停のそばで周りには自転車屋とか山下の魚屋があった。名前は思い出せんけど30年くらい前おばちゃんがやりよったな。近くに運送屋とか工場とかあったからおっちゃん連中が車で来てバっと食って出ていきよったわ。200円ちょいでうどんといなり食えたんちゃうかな。天ぷらもあったけど、今みたいにパリッとしたもんではなかったで。揚げてから時間たっとるから、どれもベチャっとしとったな。あの辺は裏に小学校や公民館もあるけど、学校の前のスーパーも今は閉めとるな。綾川沿いのホクセイいう喫茶は今でもあったわ。雲井橋のバス停がそばにあったところな。

うどん屋は行けんでも、それより高い模型屋は行った

堂尾や兵郷の近く(歩いたら遠い)本町の商店街抜けた所には昔は模型屋が2件あって男子はよう行きよった。商店街抜けて角にある国時の燃料店(氷も扱いよったから国時の氷屋って言いよった)越えてまっすぐ行ったら山本の仏壇屋やクリーニング店の前くらいに「東京堂」いう模型屋があったんや。店は狭いけどショーケースにバイクや戦車の組み立てた模型飾ってて、40年近く前はガンプラとかないから戦車やウォーターラインシリーズ(軍艦)やマブチモーターつけて走る船とか城とか車とかびっしり詰めとった。店のおっちゃんはよく怒る人やった。

ほんでもう一軒はさっきの国時の氷屋の前の道を飯山方面(日の出製麺方向)に少し行ったら「えちご屋」いう模型店があったんや。その店は東京堂の倍近く広かった。模型だけやのうて顕微鏡とか理科の実験道具とかも置いとった。通路が広くて店内はうす暗かった記憶がある。店のおっちゃんは東京堂と違ってやさしい人やったな。けど、子どもたちに人気あったんは東京堂の方やった。今はどちらも無くなったけどな。高松にはオオタ理工があったけど、坂出の子どもたちは東京堂とエチゴ屋は大事な場所やった。駄菓子屋みたいに気軽には行けんけど。うどんは模型より安かったけど、うどん屋に子どもだけで行くことはなかったな。

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