香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

高松市塩江町・昭和23年生まれの女性の証言

塩江にあった二つの製麺所

(取材・文:

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  • vol: 65
  • 2015.07.16

塩江にあった二つの製麺所

 昭和50年(1975年)頃、塩江の温泉街にある老舗の店に嫁ぎ、それからずっと同じ場所で生活しています。うどんは当時から今も変わることなく、製麺所で麺を買って家で食べていますよ。

 買いに行く製麺所は、塩江中学校の斜め前にある「佐藤製麺」。現在、塩江にある唯一の製麺所ではないでしょうか。「赤松食堂」や「谷岡食堂」といった塩江を代表する飲食店にも麺を卸していると聞きます。

 以前は佐々木さんという方がご主人をされていた「山一番」という製麺所も利用していました。こちらも佐藤製麺と同様、私が塩江にやって来た時にはすでにあった古い店です。当初は製麺所で、ご主人が代替わりする頃にうどん屋になりましたが、数年前に廃業しました。現在、同じ場所に休業中の「山一番食堂」がありますが、そちらとは経営も建物も何もかもが違います。山一番食堂は高松でスーパー銭湯を経営している会社が運営しているはずです。

葬式の時、うどんにはネギを入れない

 製麺所で買ったうどんは、家で練り物の平天やかまぼこをのせて温かいおダシで食べることが多いですね。冬は大根やにんじんを入れ、しっぽくにして食べることもあります。

 法事や葬式などの時も、うどんは欠かせません。大勢の人が集まるため、前の日から製麺所にうどん玉を予約し、当日に配達してもらいます。20玉ほど入ったせいろをいつも2枚持って来てもらっているでしょうか。

 葬祭の際はかけうどんで食べますが、葬式の時にネギは絶対に入れません。替わりにショウガを入れます。何かが不幸を連想させるためにそうしていると思うのですが、理由は知りません。姑から教えられました。

 ちなみに、塩江では当時(昭和50年代)、そばやうどんの生地を自宅で作る人が多かったです。山の方に住んで畑を持っている人は特に。製麺所から麺を買う個人は少なかったのではないでしょうか。

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