香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

東かがわ市(旧大内町)・昭和30年生まれの女性の証言

喫茶店で食べてたうどん

(取材・文:

  • [showa]
  • vol: 299
  • 2020.02.27
 父は住宅の建築士をしてて、私が幼い頃は子守りを兼ねて、自転車の後ろに私を乗せて現場回りをしてました。私がぐずったり、休憩の時にはよく喫茶店に入ってたんですけど、よく行ってたのは三本松の旧商店街の、なかんちょ(中ノ町?)にあった喫茶店「ことぶき」だったかな。店名ははっきり覚えてないんですけど。お向かいにパチンコ店があって、おじさん達が多かったですね。そこで、私にはアイスクリーム。ディッシャーで丸く盛ったのにウエハースとチェリーがついてるやつね。それが当時はすっごいごちそう感覚で。

 で、父は喫茶店なのにコーヒーでなくて、よくうどん食べてました。その頃は喫茶店でも当たり前にうどんがあったと思いますよ。店の前のショーケースにうどんのサンプルがあったし。そこのうどんは、三角の油揚げと半切りのゆで卵と、紅白のかまぼこの薄切りが乗ってたと思います。当時は、食堂で食べるうどんも、だいたいそんなもんじゃなかったかな。そのうどんを、私がアイスクリーム食べてる間に父はずるずるーっとすすり込んで、お水飲んで、休憩終わり。コーヒーは飲んでなかったな。今思えば、子どものおやつと、自分の小腹入れるのとで、喫茶店がちょうど良かったんでしょうかね。

●編集部より…証言者の推測年齢からすると、おそらく昭和30年代後半か40年頃、三本松の喫茶店でうどんが出ていたという話が出てきました。しかも、「その頃は喫茶店でも当たり前にうどんがあったと思いますよ」とのことで、珍しいことではなかったと。平成の「讃岐うどん巡りブーム」以降「喫茶店でうどん」の代名詞のように語り継がれる高松市の「アズマヤ」は「昭和30年頃にはすでにうどんを出していた」との証言がありますが(「昭和の証言」vol.261等参照)、高松市でも当時、アズマヤ以外にもうどんを出していた喫茶があったようで、もしかすると「うどんを出す喫茶店」はかつて全県的に点在していたのかもしれません。

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